刃の始まり
[11/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
あっという間に自分の横にある木を通り越して、後ろまで斬られる。
すると、そこで当然重力という力が当てられ、しかも、斬られ方が横からの斬撃の所為か、梃子の原理により、そのまま即席の自然ハンマーと化した。
木である以上、間隔は当然空いているのだが、その安全地帯に辿り着いたら自分はそのまま突っ立っているか、横に動くくらいしかできない。
そんなのは狙い撃ちの的と同じだ。躱すのに横しか動かないと解っているのに、読めないはずがない。なら、縦も同様。通常駆動も立ち止まっているので同義。
故に取るべき進路は前方。
また新しい加速の表示枠を割りながら、前進する。
「ぐ……ぅ……!」
脚の筋肉が嫌な感じに鼓動する。
既に本多・忠勝との戦いで足は一度限界を超えているのである。応急処置をしたとはいえ本調子には遠い。
既に加速は一万七千倍以上を超えている。
冷却もしてくれてはいるのだが、それでも両足はかなりの熱を発している。
だけど、前に出る。
「おぉ……!」
何度目かの叫び声。
それと共に悲嘆の怠惰で突く。
残像を切り裂くレベルのスピードでの刺突は、しかし手応えを返さなかった。
「……!」
いない。
今度は知覚できないではない。
不味いと内心で警鐘をガンガン鳴らすが、鳴らしたところでどこから来るのか教えてくれないのならうるさいだけである。
苦し紛れに周りを見ようとし、ふと足場を見ると───影が。
そこで背後の木が倒れた音を聞きながら上を見る。
そこには剣を上段に構えている剣神が獰猛な笑顔を浮かべながらこちらを見ていた。
「だが……遅い!」
もう一、二秒遅かったらやられていたかもしれなかったが、今ならば対応の方法は大量にある。
一番、安全な方法は躱す事。
そうすればまた仕切り直しになって、戦いが続くだけになるのだろうけど
それでは意味がありません!
ただ、だらだらと戦うのでは意味がない。
決着を着けなくてはいけない。それもお互いが納得いく決着を。
その為にも
「参ります……!」
「応とも。てめぇがそれくらいする事くらい信じてたぜ?」
それは光栄です、と心の中で呟きながら、足場を強く踏んで空中に出る。
全身を加速砲弾として体当たりの斬撃。
それが今の自分の最大の一撃である。
だが
「加速できんのは何もてめぇの技だけじゃねーンだよ!!」
すると、彼は剣を直ぐに振るった。
また飛ぶ斬撃かと思ったが、構わない。あの斬撃は確かに脅威だが、攻撃力自体はどちらかというと直接攻撃の方が高い。
自分と悲嘆の怠惰なら耐えられる、と理屈で納得して気にせず突撃をしようとする。
だが
「行くぜ……! ブーストでかっ飛ばすぜ!」
『ガッテンショウチ!』
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ