刃の始まり
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瞬間、立花宗茂は斬り裂かれたかのような錯覚を得た。
「なぁ……!」
思わず、立ち止まって、体を触ってしまう。
無論、無傷。
さっき感じ取ったのは、ただの錯覚である。ならば、現実の自分の体に傷などついているはずがない。つまりはただの勘違いである。
だが、得た感覚は錯覚でも、それを得る理由については錯覚ではない。
自分はさっきまで彼らの城であり、今回の勝利条件の一つでもある武蔵の攻撃をしに来た。
あれだけでかいのに剣術など通じる筈がないというのは、同感だが、自分には大罪武装、悲嘆の怠惰がある。
これならば、流石に準バハムート級の武蔵を落とすとまでは行かないが、航行は不可能レベルの損害を合わす事は出来る筈だ。
無論、武蔵の総長連合もそこは読んで行動しているはずなので、迎撃に誰かを出しているとは思ったが、この感じは
「剣神ですか……」
本多・二代ではないことは知っている。
彼女は本陣の側に出ているらしい。来るのならば、彼女と相対することになるであろうと思っていたから、多少は驚いた。
そして、彼女以外に私と真面に相対できるものは武蔵にはいないと思っていたのだが
「……」
さっきまで目印代わりにしていた気配が、さっきまでとはまるで別人かのような剣気を振りまいている。
教皇総長も言っていたが、彼を無能と扱ったことは見落としだ。
もしくは、彼の演技力が高かったのかもしれないが、これは別格だ。
この雰囲気を知っている。
三征西班牙で、私達の副長、弘中・隆包副長と似て非なる雰囲気だ。
武芸を少しでも齧った人間から副長クラスを見ると、やはり、何かが違うのだ。実力もそうだが、その纏う雰囲気が並の戦闘者や特務のレベルである我らと何かが違う。
だが、そこまで考えて自分の考えを振り払う。
何を馬鹿な……。
確かに、相手は副長だ。
違う教導院とはいえ自分よりは役職は上だし、剣神という存在は未知数なので、何をしてくるのか解らない。
そう言う意味では、不確定要素ではあるが───彼は訓練をしていないのである。
幾ら、才があったとしても、それならば恐れるに足らず。
たかだか、才ごときに負ける様な、訓練もしていなければ、矜持も持っていないのである。
自分に勝っていいのは、最低、それくらいをしている人か、ァさんだけである。
それ以外に負けたら、自分が自分を許せなくなる。
故に引く筈がない。
止めていた足を再び動かす。目指す先は、この木々を超えたこの鋭い剣気を放っている気配の元。
剣神・熱田の下に。
直ぐに彼は見つかった。
彼はこの森の少し開けた場所で、布を巻いた剣を肩に担いで立っていた。
そして、何故か走らないが、少し俯いていたの
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