好青年
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そちらの方で和んでいる。(様に見えるがあの人の事だから判らない)
本来なら僕も一緒にPONYの社長(を介してリュカ国王)のご機嫌を取らねばならないのだろうけど、お義父さんから『今日は久しぶりに息子に会うんだから、そちらを優先させなさい。ワシの方から今日は欠席すると伝えておくよ』とありがたいお言葉を頂戴している。
だから本当は今宵の宴には参加しなくても大丈夫だったのだが、ルディーの描いた絵が飾られていると聞き、急遽会場へと足を運んだのだ。
「お父さん・お母さん……この絵です!」
会場の端の方ではあるのだが、朝日に照らされた港風景が描かれた絵画が一枚そこにある。
絵の端に添えられたサインは間違いなくルディーのもので、この絵が息子の作品である事が確認出来た。
「凄いな。まだ芸高校の一年生なのに、こんな晴れの舞台で披露して貰えるなんて……お父さんも鼻が高いよ」
「本当にそうですわね。選んでくれたウルフ閣下に後でお礼を言いましょう」
「はい。僕も沢山お礼を言いましたが、全然足りないと思いますので、お父さんとお母さんからも宜しくお願いします!」
僕もそんなに実力があるわけでは無いのだが、この絵はまだまだ発展途上の技術だというのが分かる絵だ。
それなのに採用してくれたウルフ閣下には心から感謝しかない。
これを切っ掛けに息子の絵が多くの人々に観て貰えれば幸いだ。
留学させて良かったと思うよ。
「おやぁ? 君はサラボナから留学してきたルディー君とか言ったね。こんな所で会うなんて……如何やって紛れ込んだんだい!?」
突然後方から声を掛けられて驚き振り向く。
そこには息子と同年代だと思われる青年が……
傍にはかなり身形の整った壮年の男性が一人。
顔付きなどから二人が親子である事が覗える。
「ザルツ……何方かな?」
「あぁ父上……彼は私と同じく芸高校に通う同級生です。同じように絵画を専行しています」
“ザルツ”と呼ばれる息子から、ルディーが学友である事を聞く。
「やぁこんばんはザルツ君。初めましてザルツ君のお父さん。こちらは僕の両親です」
「やぁ初めまして……サラボナの方なのかな? 皆PONYの社長との会話を楽しんでいる様だが……宜しいのかな?」
「あぁお気遣い無く。本来我々は今宵の宴には非参加なのですが、ウルフ宰相閣下のご厚意で息子の絵が飾られると聞いて、少しだけ観に来てしまったのです。本来は居るべきではない身分なので、この絵をもう少し堪能したら退散させて頂きます」
「なっ……こ、これは君の絵なのかい!?」
「あ、うん。課題で描いた絵を観せたらウルフ宰相が飾ってくれるって……」
「ウ、ウルフ宰相閣下と知己なのかな!?
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