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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギアAXZ編
マリア、苦手克服への道
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なのは、トマトがトマトと分からずその旨味を伝える事。なので彼は、最初はトマトをペースト状にしたりソースにしたりして様々な料理と合わせてみた。
例えばトマトソースパスタだったり、ハンバーグに掛けるソースをトマトにしたり、トマトの形が残らないようなスープにしたりと様々だ。
マリアがトマト料理に挑む様子は気付けば食事時のちょっとした催しとなりつつあり、彼女が食事に臨む時はよくエルフナインや響が傍で応援に回っていた。
「頑張ってくださいマリアさんッ! あと少しですよ!」
「その意気ですマリアさんッ!」
「うん……うん……!」
響とエルフナイン、時々切歌や調の声援を受けながら料理を口に運ぶマリアの姿に、それまで別件で遠出していた為何も知らない颯人は奇異なものを見る目を向けていた。
「何あれ……」
「マリアの苦手克服」
「何でも、マリアはトマトが大の苦手だそうで」
思わず呟いてしまった疑問に、彼の対面に座っていた奏と翼が答える。2人から得られた答えに、颯人は納得すると同時に呆れた声を上げてしまった。
「そんな、トマトぐらい放っとけばいいのに」
「颯人もこの際だからウナギ嫌いを克服してみるか?」
「絶対嫌だ」
颯人の場合はトラウマありきでの嫌いなので、克服も簡単にはいかない。そもそもウナギなんてそんな頻繁に食べる事も無いので、嫌いが克服など出来なくても問題ないというのが彼の結論であった。
「しかしあれ、効果あるのかね?」
「さて、どうだか……」
「何と言うか、寧ろ逆効果な気も……」
その翼の懸念は的中した。連日嫌いなトマト料理を無理矢理口に運んでいたマリアだったが、根本的にトマトが嫌いな部分を克服できていなかった為逆にトマト嫌いが加速。結果、精神的疲労により遂にぶっ倒れてしまったのだ。
「うきゅ〜……」
「うぉぉ、マリア大丈夫かッ!?」
「マリア姉さん、しっかり!?」
目を回して倒れたマリアを、ガルドとセレナが慌てて医務室へと運んでいく。その様子に颯人と奏は顔を見合わせて思わず肩を竦めた。
「ダメだありゃ」
「まぁ、トマトが食べられないからって死ぬことも無いんだし」
結局マリアはトマト嫌いを克服する事が出来なかった。それを見ていた誰もが、マリアはこのままトマトが食べられないままなのだろうと思っていた。
だがそれは、数週間後に覆される事になるのだが、その事を知る者は誰も居なかったのである。
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