暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
魔法絶唱しないフォギアAXZ編
マリア、苦手克服への道
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 何だか変なスイッチが入った様子のマリアに、ガルドもこれ以上は何を言っても無駄と彼女の分のトレーにもトマト尽くしのランチを乗せる。
 その光景にマリアは冷や汗を流しながらテーブルに座り、そしてフォークを片手に料理と相対した。

 ただ食事をするだけなのに鬼気迫る様子の彼女に、奏が不審そうに近付き彼女の顔を覗き込んだ。

「どうした、マリア?」
「う、え……?」
「何か、顔が梅干しみたいになってるぞ?」

 大嫌いなトマトばかりのメニューを前に、顔に力が入り過ぎてマリアの顔はとんでもなくクシャクシャになってしまっていたらしい。奏に言われて漸くその事に気付いたマリアは、一旦フォークを置き両手で顔をマッサージし解すと改めてフォークを手にしまずは前菜のトマトとサーモンのマリネに手を伸ばした。オレンジ色のサーモンの切り身にトマトの赤い果実が映えるそれを、フォークで一刺しにし口に運ぶ。

「あ、あ〜……」

 震える手でフォークを口に運ぶマリアの様子を、気付けば奏だけでなく翼達までもが固唾を飲んで見守っている。それに気付く事無くマリアは口元までフォークを持っていき、あと数センチもいかない所まで近付けた所でそれを皿に戻した。

「くっ!? だ、ダメ……やっぱり無理……」

 気合で何とかトマト嫌いを克服しようとしたようだが、やはり苦手を克服するのはそう簡単ではない。マリアがトマトを食べられなかった事に、ちょっと期待していたガルドとセレナも思わず肩を落とした。

「ダメか〜。セレナ、このままだと可哀想だから何か簡単にでも用意しよう」
「うん」

 このままマリアだけが何も食べられないのは不憫だと、ガルドとセレナが別に料理を用意し始める。その優しさが今のマリアにはありがたいと同時に心苦しかった。

「うぐぅ〜、トマトに……トマト如きに……!?」
「トマト相手に何をそんなムキになってんだよ?」

 まるで親の仇でも見るような目で皿の上のトマトを睨み付けるマリアに、奏も呆れた声を上げた。

 その間にガルドとセレナはランチに使った豚バラ肉の残りを使って野菜炒めとスープを用意し、マリアの分のトレーを取り換える。新しく用意されたランチはトマト色が一切無い為、マリアでも問題なく食べられたがその味は敗北の苦味を強く感じさせた。

「このままでは終われないわ……!」

 敗北の味を噛みしめながら、マリアはこの苦手を克服する為動く事を決意した。

 と言ってもやる事は至極単純であり、この日を境にマリアには特別メニューとしてガルドに頼んでトマトを使った料理を毎回出してもらうことにしただけである。ガルドの方もマリアのトマト嫌いを少しでも克服できるようにと、あの手この手で様々な料理をマリアに提供した。

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