第三章
21.加護
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その場合、まだ外の国に対して何もしていないロンダルキア新教団を討伐しようという僕たちは、ルビスや神々から見てどんな位置づけになってるんだろ」
「……そんなことを考えていたのか」
ロスは驚きの表情を浮かべた。だがそれをすぐに戻す。
「どうであろうがやるべきことは変わらない。俺はハーゴン教団再建の動きを放っておける立場ではないからな。この先世界に禍をもたらす可能性が否定できない以上、今のうちに滅ぼさなければ国民は安心して暮らせない」
うなずきながらも、カインは言葉を返す。
「そうだね。こうなった以上、君は人々のために、国のために、戦わなきゃいけない。だから不安なのさ。なんの加護もないのに、民に盛大に見送られ、少人数とはいえ親征として戦地に赴こうとしている――それが今の君なのかもしれない、って思うとさ」
そして、付け加えた。
「僕はあの魔術師の首は簡単には取れないと思ってる。油断はしないようにね」
◇
新しい神殿は一階建てで、狭い通路もなく、例外を除いては完全に区切られた部屋もない。広く開放的で、極めて単純な造りになっている。これは、旧大神殿でロトの子孫三人組の襲撃を受けた際、階・通路・部屋といった区切りで各個撃破された反省を生かしたものである。
その例外が、フォルが使っている執務室であった。扉こそ大きいもののきちんと壁で囲われたその部屋では、中央やや奥に机が置かれており、壁際には本棚に悪魔神官が遺した研究資料がびっしりと詰められていた。
机の奥のやや広い空間には、臨時でベッドが置かれていた。
いま、一人の少年がその上で横になっている。フォルだった。
そしてベッドの横に座り、額に手を当てて体温を診たり、手首を触って脈診をしているのは、ロンダルキアの祠の少女・ミグアである。自称キラーマシン使いのタクトが土下座して急遽来てもらっていた。
「そろそろ倒れる頃合いとは思ってたけど。キミ、こういうところは期待を裏切らないね」
「す、すみません」
外見から受ける印象よりは根性がある。それが、杖の使い方を教えている老アークデーモン・ヒースや、体の鍛え方を教えているバーサーカーの少女・シェーラによる対フォル評の一つだった。
が、やはり、改善しているとはいえ体力の絶対量の低さについては、なかなか気力では補い切れないようである。
「ひどい熱」
「シルバーデビルのベホマも効かんし、致命的な病じゃろうかとみんな心配しとる」
「それは多分大丈夫。過労だと思うから、休めば治ると思う」
「おお、そうか。それは安心じゃ」
ヒースだけでなく、同じくベッドのまわりにいたシェーラやタクトも、ホッとした様子を見せた。
「ミグアち
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