王の勅命
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その危機を無視する事は出来ない。
「今、救いに行きます。我が王よ!」
地面に刺さっていた鉄塊を腕の振りで、あっという間に宙に浮かぶ。
その間に、周りの学生たちも落ち着きを取り戻したのか、武器を構える。
しかし、問題はない。
右足を後ろの方に下げ、体の体勢を低くする。そして、これからの力の発揮に滑らないように左足のソールだけを地面に刺す。
そのまま、力任せに回転。
何をするのか解った者はぎりぎりでしゃがんだり、飛んだりする者がいたが、武器を構えていた人は間に合わなかった。
そのまま、宙に跳ぶ人間が+四百人前後。
おまけで、一回転した後にわざと鉄塊を離す。離されると思っていなかった者達は当然回避する事は出来なかったし、ここは密集地帯だ。
回避するのも難しい。
更に合計で百人くらいは吹っ飛んでいた。しかし、流石と言うべきか、直前で恐怖に固まる前に防壁を張っていたのを見た。
あれでは、ダメージは受けていたとしても、倒す事は出来なかっただろう。
しかし、奇襲はまだあるのだ。
「ぶちかませ! 地摺朱雀!」
背後から十トン級の武神が、その落下の勢いを落とさないまま落ちてきたのが震動で分かった。
敵どころか味方まで、その震動に浮き上がっていた。
着地地点の者は事前に察知でもしたのだろう。加速術式で退避をしようとしたらしいが、直撃を避けるだけで、諸に震動のダメージを受けていた。
震動は脳を揺らし、あれでは地上に立つことも難しいだろう。
そこに、情け容赦なく拳を向ける直政であったが、その寸前に周りが助けに入る連携も流石と言うしかなかった。
そこまで見て、ミトツダイラは左足のソールを抜いて、総長の方に向かって行った。周りが身構えるが気にしない。
そのまま銀鎖を二本追加しようと思って───
「おっと。残念ながらここでストップだ」
「……な!」
全員が聞き覚えがある声に、味方どころか敵も驚く。
走り出した加速を止めずに、視線だけを越えの方に向ける。
そこには教皇総長・旧派首長。“淫蕩”の八大竜王であるインノケンティウスがいた。
……馬鹿な!
教皇総長がここで自ら出陣?
危険すぎる。ここにはうちの馬鹿総長はともかく、相対権限を持つ暫定副長補佐である二代がいるのである。相対をされたら一瞬で崩壊だ。
だから、教皇総長はすぐさま自分の右手に持っている淫蕩の御身を放とうとした。
不味いで御座る!
淫蕩の御身の効果はガリレオという借りている人物が使った場合の能力しか見ていないが、それで個人の武器を遊ぶという、こちらの力を無効化するという力を発揮していた。
ならば、所有者である教皇総長が使ったらどうなるか。
考えるまでもない。
故に、自分の手にある蜻蛉切りを
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