暁 〜小説投稿サイト〜
不可能男との約束
王の勅命
[5/13]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
当然人間の視点で見れば、それは単なる巨大な鉄塊である。
それもミトツダイラに直撃コースである。
空中にいる故に躱せるはずがないと誰もが思った。
しかし

「気をつけろ! 武蔵第五特務は───半人狼だ!」

その言葉に術式防盾を構えていた人物たちの表情が変わった。
つまり

「な、何だってーーーー!!?」

付き合い良すぎじゃありませんの? と疑問を抱くが気にしてはいられない。
とりあえず礼儀として一撃を与える事にしょうと思った。

「私の銀鎖は、私の力を伝播する体の一部のような物……それに狼の力を伝播させればどうなるかお分かりですわよね?」

その言葉を聞いて息を呑む音が狼の耳に聞こえるが、それでも逃げ出そうとする者も、恐怖で縮こまる者もいなかった。
その事から、相手が覚悟を持った集団だと即座に判断し、だからこそ手加減抜きの一撃を言葉通り、狼の力を込めて放った。

銀狼(アルジョント・ルウ)の名の元に……力を示しなさい銀鎖」

力は示された。
盾を構えたK.P.A.Italia学生達、一千人を力任せの双の巨大な打撃を持って、盾ごと粉砕されたのだ。
それだけでは済まない。
盾を壊された衝撃は、それだけで止まらず、そのまま持ち主にまで衝撃を与える。反射で、受けた一千人は堪えようとするのだが、人間の膂力では狼の膂力に耐えられない。
術式で強化はする事は出来るが、それでも勝利することは難しいのだ。
その結果。
一千人は何かの冗談のように地上を追放された。
時間にしては恐らく十秒いくかいかないかの空中遊覧。それも、自分の意志を持って起こした結果ではなく、無茶苦茶な力を持っての起こされた結果。
吹っ飛ばされた方はたまらないものだが、それを引き起こした騎士は優雅なものだった。
蹂躙された戦場の真ん中に、むしろ静けさを感じる様な着地をするミトツダイラ。周りは悲鳴と驚愕の阿鼻叫喚図だというのに、ミトツダイラの場だけ空気が違うように感じる。

「武蔵アリアダスト教導院第五特務、ネイト・"銀鎖"・ミトツダイラ。我が王に道をつける為に馳せ参じました」

ゴクリと周りの学生たちが息を呑む音が響く。
半人狼としての自分の力に恐怖と驚愕を抱いたのだろうとミトツダイラは思う。
怖がらなくていいのですよ? だって、うちの総長と副長は私の事を全く怖がりませんし。
そう思っていると

「ネイト〜〜!」

戦場の中でも呑気と思える声が響く。
彼は、今は仲間と共にK.P.A.Italiaと三征西班牙混合隊に囲まれ、何を思ったのか木にコアラのように掴んで回っている。
ツッコむ部分しかないが、ここは何も言わずにシリアスを通すべきですわねと一人納得して、総長の狂行を無視する。
しかし、狂行は無視してもいいのだが、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ