王の勅命
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加速も既に消え始めている。このまま行けば、丁度戦場の真ん中に落ちることが出来るだろう。
しかし
「そう簡単にはいかないみたいですわよ……!」
ミトツダイラの叫びに反応して、直政も下を見る。
下を見ると、最早、空に対しての壁となるくらいの術式防盾の壁。見ただけで、大体千以上の防盾が貼られているのが解る。
理解して、二人がした行動は焦る事でもなく、考える事ではなかった。
直政はミトツダイラに託し、ミトツダイラは直政の力を受ける、それだけであった。
「行くよミト……!」
「わざわざ言わなくても準備は万端ですのよ」
お互いが挑発的な笑顔を浮かべ、そして直政の意志を受けて地摺朱雀が体を動かす。
ミトツダイラを持っている手が投擲体勢に入る。
勿論、この場合、投げられるのはミトツダイラである。
しかし、その事に付いて疑問を抱いている様子は二人には一切なかった。
そして振りかぶって投げられるという運動エネルギーをミトツダイラは託された。
最初に感じるのは空気を切る音。
そして落ちている時に感じる特有の足が地面に着いていないという不安定さ。
しかし、それらは今のミトツダイラにとって恐怖を生み出すものではないし、狼がこの程度で狼狽えていてはプライドに関わる。
故にミトツダイラは微笑を持って、飛翔をし、目の前に群がる盾を見る。
そもそも、ここで盾に止められているようでは王の騎士を名乗る資格もないし、戦う資格もない。
ならば、力を振るいましょう。
振り回すのではなく振るう。
力は意志の下で振るえば、それは暴力ではなく、進む力になるのですから……!
「行きますわよ銀鎖……!」
言葉と共に両手と肩に持っていたケースから引き抜かれたのは一メートルはあるオベリスク。
それらを両肩背部のハードポイントに接続。鈍い金属音が響いたことで合致が終わったことを知り
「給鎖開始ーーー!!」
声が力を引っ張り出す。
ジャランと一種の綺麗さを感じる様な音と共にオベリスクから現れたのは鎖であった。
人の手よりも太い鎖の先端には宝石のような三本の爪を感じさせる赤いものがあり、そしてそれは瞬時にミトツダイラの手を伝って、数メートルの長さに変化した。
いきなりの虚を突いた武装に盾を構えていた人達は一瞬怯んだが
「怯むな! 単なる鎖だ! 一撃耐えれば反撃できる!!」
「あら? 目利きが悪いですのね。これは単なる鎖ではなくインテリジェンスチェーンですのよ」
相手の隊長格の叫びに余裕の表情で答えると、背後から何かが外れる音が聞こえた。
それは背後から地摺朱雀の腕の補強パーツである鉄塊である
武神の視点で見れば単なる補強パーツに見えるのだが、
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