王の勅命
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うな気迫とか、自信とか力とか器とか弁舌能力とかはない。
そう言う意味なら、普通の王としての能力は一切ないと言ってもいい。
元々、それだからこそ、武蔵総長兼生徒会長になれたのだから。
だから、彼は不可能男と呼ばれている。
自分の力では何もかも実現することが出来ない。何もかも不可能。
故に彼は他人の力を借りる。
嫌な言い方で言えば、他力本願と蔑む人もいるかもしれない。諦めているだけだと罵る人間もいるかもしれない。
本当にそれならばその通りとしか言えないかもしれない。
でも、トーリ君はそれでも何もかもが不可能であったとしても、諦めなかったのである。
誰も彼もが、無理だ、不可能だ、そんな物は夢物語だ。現実を見ていないなどと何度も"殺されてきた"のに、それでも諦めなかったのだ。
故に、武蔵の皆は昔誓ったのだ。
お前が諦めない限り、自分達はその夢を手助けしようって。
だから、彼の言葉には強さはないのに力があるのだ。
『あ、でも俺はそっちが勝てると思っていなかったんなら、俺は止めてもいーぜ? それなら、次こそはお互いの全裸対決で勝敗を決しようというだけだからな! 何なら女装対決でも可……!』
『後半は無視するが───良いだろう。受けて立ってやる』
『……! 聖下!?』
『狼狽えるな。たかだか、剣しか振るえない小僧に西国無双が敗れると思ってるのか、なぁ? 経験も自分から捨て、何もしてこなかった餓鬼が。八大竜王にして"神速"の異名を持つ男が。常識的に考えて負けると思ってるのか』
それにだ。
『我らよりも弱くて、馬鹿で、年下の小僧が真っ向から立ち向かおうとしているのに───我らK.P.A.Italiaは逃げて、安全策で勝負か? おい』
『───いいえ!』
そうだとも。
『故に我らは正しき行動を持って相対をする。いいか? 正しい方法は常に勝つ。そして、それは俺がいる限り無くならないし、失わせない。故に我らは全戦全勝────違うか!!?』
『───Tes!』
なら唱えろ。
『聖譜ある世界に結果はすべて正義に満ちている!!』
おと続く音が熱のように広がる。
その音に満足したかのように溜息を吐いた教皇はそのままトーリ君の方を睨んだ。
『俺は勿論、立花宗茂の勝利に賭ける』
『俺は勿論、熱田・シュウの勝利を信じるぜ』
『負けたら、俺はお前に道を譲ってやろう』
『負けたら、俺はホライゾンを諦めていいぜ』
『だが、この勝負───』
『だけど、この勝負───』
そして最後は二人して笑って告げた。
『貴様の負けだ』
『俺の勝ちだよ』
どちらも自分の必勝をまるっきり疑っていない、けど違う王の姿であった。
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