王の勅命
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が、結果に表れてしまう。才能だけでは、突然に起きる事に対応できないことが、この世に一杯あるのだ。
それに経験をしているという事は慣れを得れるという事である。
すなわち、命を取られるかもしれないという雰囲気と空気を体に覚えさせることが出来るという事だ。
こればかりは、慣れても出来ない人間は出来ないものである。如何に力があっても、それを振るえる気力がなければその力は発揮できない。
当たり前の理屈である。恐怖を感じている体がどうやって全力の力を出せるというのだ。そればかりは副長の気が強い事を信じるしかないのである。
余談だが、力を持っているというのはそんな場ではやはり、安心感を生み出す。
だからこそ、力がないのに戦場の中心で笑っているあの総長は一体、どれだけの胆力を持っているのかという話になる。
とりあえず、ネイトはちらっと副長のがいるはずの森を見る。
そんな仕草に何を思ったのか、直政はやれやれとわざとらしく首を振って、苦笑しながら言った。
「いい女二人に心配されるとは……うちの副長も幸せもんだよ」
「……卑下するわけではないのですけど、その言い方では誤解されるので止めてくださいません?」
「誤解なのかい?」
「………」
そう言われると心配の部分は否定はできないし、だからといって肯定するのは癪だったので、結果として沈黙を選ぶしかなかった。
それを見て、直政は更に笑顔を深めるが、気にしてたら余計に癪になるので無視することにした。
断っておくが、自分は智みたいに恋愛感情を持って、彼とは接していはいないのだ。
自分はただ、十年前の出来事を、その、ただ謝りたくて……あ。私、まだ彼に謝っていませんの。
『……どうしたんだい? ミトツダイラ君。急にテンションを下げて……そんなに何かを壊せないことに苛立っているのかい……?』
「……私の事をどういう風に曲解してますの……」
『失礼ねぇ。曲解なんてしてないわ。私達はミトツダイラの破壊の前奏曲であるガルルル吠え声を、慄きながら待ち焦がれているのだから!! これは曲解じゃなくて期待よ!!』
『待て。破壊というのはどういう事だ』
『つまり───これからミトツダイラ君主演の大量虐殺物語が開幕されるって事さ……!』
「されません! そんなの絶対に開幕しないのですよーーー!!?」
そんな一方的な屠りを実行できるような能力も、性格もしていないのである。
というか、一方的に虐殺する騎士とか、物語で言うならば明らかに悪として滅ぼされる立ち位置である。
私は王道の騎士が良いですのっと思わず吠えそうになるが、そんな事を外道集団に言ったら、夢見がちとか言われて弱みを握られてしまうのは解りきった結論なので黙る事にした。
改めて思う事ではないとは思うのだが、ど
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