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不可能男との約束
王の勅命
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ようやくですわとネイト・ミトツダイラは戦場の大地を見下ろしながら、ただそれだけを思った。
この思いをすっと胸の内に秘めていた。
我が王との約束を記憶の奥底でずっと思い続け、騎士として生き続けた。
昔とは違い、戦闘の技能を高めたし、勉強もし続けた。王の一番の騎士として戦えるように強くなり続けてきた。
ホライゾンが死んだという後悔から、何とか這い上がり、されど、忘れずに抱え込み続けた。実は、王は既に自分との約束は忘れたのではないかと思った事もあった。
でも、彼は決して忘れてはいなかった。
そして副長も。
そういう意味でならば、自分は彼ほど、我が王を信じていなかったという事になる。そこが素直に悔しい事が悔しい。
だからこそ

「この戦場で、王の一番の騎士としての誉れを見せますわ」

騎士として戦場で擦れべきことを世界に見せつける。
それが自分の出来る彼らへの答えだろう。

「ノリノリさね。ミト」

すると、少し背後から声が聞こえる。
声に反応して、顔だけ後ろに向ける。後ろのいるのは直政。しかも、既に地摺朱雀の肩に乗っており、戦闘準備は万端である。
書くいう自分も、地摺朱雀の左手に乗せられており、服装も制服ではなく水色と白を基調としたドレスのような恰好。
ミトツダイラの戦装束。
これから行こうとしているのは舞踏会ではない。ただの戦場である。
だけど、それは正しい。戦場こそ、騎士にとっての舞踏会場。だから、戦装束はドレスと変わらない。魅せる相手は敵であり、味方。
最高の結果は王に凄いなと言われる事だろう。
その事を内心で考えながら、直政に微笑する。

「あら? その理屈で言うのなら、今、戦っている皆は既にノリノリですわよ」

「違いない」

苦笑して直政も同意する。
その事に自分も苦笑していると、自分達の丁度、顔の正面の場所に表示枠が現れる。
相手はネシンバラだ。

『準備は大丈夫かい。制空権はナルゼ君とナイト君が取ってくれた。武神相手にね』

「なら、二人よりも攻撃特化しているあたしらが二人よりも更に成果を出すことがあたしらの仕事さね」

「Jud.当り前ですわ」

これは言う必要なかったかなと苦笑しているネシンバラに当然と返す直政。
それを見て、ふと思った事を聞いてみた。

「あの……副長は今はどうしてますか?」

『ん? ……ああ、落ち着いて相手を待っているよ。見たところ、葵君の馬鹿騒ぎを楽しんで見ているように思えるけど』

「呑気だねぇ……」

呑気なのは認めるが、落ち着いているというのを聞いてほっとする。
何せ、彼の力は認めてはいるが、経緯はどうあれ、彼は梅組で一番、実戦経験を体験していないはずだ。
誇れる過程ではあったが、現実は結果主義だ。
今までの訓練
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