第十二話 驕る平家は久しからずその二
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「そのうえで」
「さらにだよな」
「整理体操もしないとな」
「それでストレッチも欠かさない」
「そうしてるよな」
「さもないと本当に怪我をするから」
このことも言うのだった。
「だから」
「それでだよな」
「ストレッチとか準備体操すらしないならな」
「怪我人も多い筈だよな」
「それなら」
「そう」
確信を以てだ、佐京は答えた。
「本当に」
「それだけ駄目なんだな今の巨人」
「選手の外見も完全に半グレ集団だしな」
「如何にもガラが悪そうで」
「近寄りたくないな」
「入れ墨は絶対に入れない」
佐京は静かだが確かな口調で断言した。
「代々そうしてきたから」
「それあれだろ」
友人の一人が佐京の今の言葉を受けて彼に言ってきた。
「猿飛の家って元々士族だろ」
「江戸時代は武士だった」
「猿飛佐助さんの頃からな」
「佐助様は幸村さんの直臣だった」
かつて石高は少ないながらもれっきとした大名であった彼にだ。
「武士でもそれなりの身分だったから」
「そうだったよな」
「十勇士のお家全部そうだった」
真田幸村に仕えていた彼等全員がというのだ。
「幸村様の直臣で」
「それでだよな」
「武士の中でも身分は高かった」
「そうだったな」
「薩摩に逃れても」
大坂の陣の後でそうしてもというのだ。
「幸村様と十勇士全員で秀頼様をお護りして」
「薩摩に逃げてか」
「そこで身分を隠して暮らしていても」
そうであってもというのだ。
「やっぱり武士だったから」
「江戸時代ずっとか」
「名前を変えて」
そうもしてというのだ。
「暮らしてた」
「そうだったな」
「それで明治維新になって姓を戻して」
本来の猿飛家にというのだ。
「神戸に移り住んだけれど」
「武士から士族になったな」
「その士族の時も」
武士であった時と同じくというのだ。
「入れ墨入れなかったから」
「武士、士族の人はな」
「そうだったから」
それでというのだ。
「俺も入れない」
「そうだよな」
「入れ墨を入れるのはならず者」
佐京はこうも言った。
「ヤクザ屋さん、半グレはもっと酷い」
「ああ、半グレの入れ方って特徴あるよな」
「アメリカのラッパーみたいな模様入れるよな」
「それも手首とか首筋とか見える場所にな」
「中には顔にも入れてるのいるな」
「そんなことしたらまともに就職出来ないし」
入れ墨を入れているとそれだけで反社会的な人物とみなされる、これが今の日本社会の常識である。
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