戦場へ
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既に限界まで後ろに捻っている。腕のタイミングも外してはいけないのである。
しかし、これならば生きる難易度よりははるかに下だ。
二歩。
既に術式砲弾はほんの十五メートル先である。
お互いの加速を考えると、もう目と鼻の先といっても同じ距離である。体全体に無駄な力が入りそうになるのを全力で止める。
力でやれば斬れてしまうだけ。斬っても、火薬に引火して爆発すれば意味が無くなる。
そして
「三!」
三歩目で体を地面に固定するかのように右足を地面に縫いとめ、砲弾と歩を合わせた。
理想的な距離だった。
砲弾は四メートルくらい前。
それならば、槍も届く。
「……!」
息を漏らす事すらもったいないくらいの死地。
しかし、そんな事は考えずに槍を突きだす。水平に突き出し、砲弾を乗せる。一瞬の擦れで火花が槍の先端で散る。
それと同時に衝撃が腕に疾るが、力づくで捻じ伏せる。だからといって無理矢理力を入れてはいけない。
そのまま逸らすように槍の角度を調整し、力の流れを変化させ
「……でやぁ!」
逸らした。
甲高い音と共に直線に走るはずだった術式砲弾は逸れた。
が
「───浅い!」
もう少し派手に逸らしたかったのだが、やはり土壇場ではこれが限界だったようだ。
あれならば、身長が高いものは反応できなかったら当たる。
舌打ち一つで何とかならないかと反転しようとするが間に合わない。
そして後ろから
「いったあーーーー!!」
余裕がありそうな悲鳴が聞こえた。
アデーレ……殿……?
点蔵は砲弾がアデーレの機動殻にぶつかるところを見ていかんと思って、何とかしようとした人間の一人である。
正直に言えば、直ぐに助けに行けるような距離ではなかったし、頭の片隅では間に合わないと解っていたが、それで諦める様な賢い人間は武蔵にはいないので、自分も最後まで馬鹿みたいに諦めないで御座ると思っていたのだが、結果は
「いたたたた……」
何だか、膝擦りむいてしまいました程度のリアクションしかとらないアデーレ。
いや、確かに機動殻を装着しているのだから、普通の人間よりも堅いのは頷けるので御座るが、それでも今の時代の機動殻はスピード重視の物なので防御自体は術式砲弾を防げるようなものではなかったはずなので御座るが……?
どういう事だと敵味方全員で首を傾げる。
とりあえず、全員で落ち着けのジェスチャーをして、とりあえず三征西班牙はもう一度という結論に達したらしく、それをアイコンタクトで二代殿に伝えていた。
すると、彼女も真面目な顔で頷いて、道を開けた。
「え? ちょ、ちょっと! どうして道を開けるんですか二代さん!? え? 出力用の符を三枚追加……いや、四枚追加
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