戦場へ
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「何やってんだが、あの馬鹿は」
呆れた溜息を吐きながら熱田は森の中で苦笑する。
メインの戦場ではなく、ここにいる理由はちゃんとある。
ここから武蔵は丸見えである。
そんな所で例えば、大罪武装の攻撃でも喰らったら、武蔵は間違いなく落ちるという選択肢しかない。
そしてそんな都合のいい大罪武装を持っている存在が相手にいる。
立花宗茂。
西国無双と神速の二つ名を持ち、大罪武装悲嘆の怠惰を持つ男。
正直に言えば、彼を相手するのに一番相応しいのは二代である。お互い加速術式で速さで勝利を取る戦い方。
単純なスピードならば、恐らく宗茂の方が速いかもしれないが、チャンスは多い。
俺も遅いとは言わないが、それでも加速術式を使った人間に勝てるだなぞ自惚れてはいない。
「とは言っても、それもやり方次第だけどな」
そして因縁の部分でも二代がやりたかっただろう。
自分の父親と最後まで打ち合っていた人物だ。自分の父が。東国無双と呼ばれ、最強の一角であった人物が最後に勝ったのか負けたのか。それも知りたかったはずだ。
普通ならば譲るべき相手であった。
だが、今回、このタイミングでは、こっちも譲れない相手だったのである。
本気で悪い事をしたと思っている。自分はそういう意味では彼女に対して最低な事をしたと思っている。
だが、それでも譲れないものは譲れない。
なら、二代に対してしてやれる事は勝利を持ってくることだけだろう。
つーっと近くに置いてある布で巻かれた大剣に視線を向ける。
『ーーー♪』
その剣は歌っていた。
歌詞ではなく、ただの鼻歌である。
狙ってやっているのか、曲は通し道歌。と言っても、こいつがこの歌以外をうたっているところを聞いたことがないが?
そう───家では子守唄代わりに良く聞いていた。
だから、解らない。
この剣は一体、誰だろうか?
「……言っても意味がねーことだけどよ」
『───? ドウシタノ?』
「何でもねぇよ。何時でもヤレルぜって事だ」
『ガンバルノ』
再び苦笑して、剣から目を離す。
今、考えても意味もないし、答えも出ない。この十年間、ずっと考えたり、悩んだりした問題なのだ。いきなり答えが降って湧いたりするわけがない。
逆にいきなり閃いたら、今までの自分が馬鹿みたいに思えるだけだ。
ふぅ、と改めて溜息を吐く。
『暇そうですね、シュウ君』
「お前こそ、そっちは艦隊射撃をしないといけないんじゃないのか? 智」
『ええ……そうなんですけど……』
『浅間様。よろしくお願いします───以上』
『お? お? 来ましたね? 来ましたね!? じゃ、じゃあ、射ちますよ? う、射ちたいから射つんじゃないですよ? こ
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