第六十四話 終わらないものはないその一
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第六十四話 終わらないものはない
ヘラクレス達ギリシアの英雄達に勝った、だがメルヴィルは肩で息をしてそのうえで何とかと言う顔で立って言った。
「危なかったわ」
「ほんまやね」
綾乃も死にそうな顔であった、そのうえでメルヴィルに応えた。
「今回も」
「毎回な」
「神霊さん達との戦は大変やな」
「ちょっと間違えるとな」
そうすればというのだ。
「もうな」
「こうなるね」
「満身創痍にな」
そう言っていい状態にというのだ。
「なるわ」
「ほんまそうやね」
「神霊と人の違いは大きいわ」
「そのことを実感するわ」
「毎度毎度」
「おいおい、勝ったんだぞお前等は」
その彼等にヘラクレスが笑って言ってきた。
「それならな」
「それを喜べですか」
「そうだよ」
こうメルヴィルに言うのだった。
「もうな」
「そうですか」
「ああ、勝者はな」
その立場の者はというのだ。
「胸を張ってな」
「勝利を喜ぶべきですか」
「身体全体でな」
「それは後でええでしょうか」
メルヴィルは青息吐息といった顔でヘラクレスに言葉を返した。
「今はとても」
「疲れ切って傷だらけだからか」
「体力も気力もぎりぎりですさかい」
見れば十人全員がそうである、立っているのがやっとという風だ。
「そうなんで」
「まあな、人が神霊に勝つんならな」
「それならですね」
「相当力を使うってことだしな」
「実際使いました」
メルヴィルはまさにと答えた。
「ほんまに」
「それでか」
「はい」
だからだというのだ。
「わし等はです」
「今は喜べないか」
「後でええでしょうか」
「何時でもいいぜ」
ヘラスクレスは鷹揚に応えた。
「今すぐでなくてもな」
「そうですか」
「ああ、じゃあ宿屋に戻ってか」
「はい」
そしてというのだ。
「そうしてです」
「休むな」
「まずは」
「それで体力と気力を回復させてか」
「そうしてですね」
それからというのだ。
「乾杯して」
「喜ぶんだな」
「そうします」
「そうか、じゃあな」
「はい、今からです」
まさにというのだ。
「休んで食って」
「体力と気力を回復させるな」
「そうします」
こう語った。
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