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ドリトル先生と不思議な自衛官
第十幕その十

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「そう言って推したんだよ」
「ああ、運ね」
「運も大事だからね」
「本当にね」
「その運をね」
 まさにというのです。
「買われたんだ」
「ただ有能なだけじゃなくて」
「運もよかった」
「そのことも買われたんだ」
「そうだったのね」
「戦争は不確定要素がとても多いね」
 先生は戦争について深く考えるお顔でお話しました。
「そうだね」
「うん、兎に角ね」
「スポーツでもそうだけれど」
「戦争って不確定要素が多くて」
「それで勝敗が決まることもあるね」
「東郷さんは兎に角運がよくてね」
 それでというのです。
「黄海海戦なんかたまたま撃った砲弾が敵の旗艦の艦橋を直撃したんだ」
「たまたまなんだ」
「それが旗艦の艦橋に当たって」
「凄いことになったんだね」
「旗艦だからロシア海軍の先頭を進んでいたけれど」
 そうなっていたけれど、というのです。
「そこで皆倒れてね、操舵手の人が舵を右に曲がったまま倒れて」
「ああ、艦隊の進路が変わったんだ」
「右に」
「それは戦局に影響するね」
「それもかなり」
「そう、実際にそうなってね」
 それでというのです。
「そこを帝国海軍が攻めてね」
「勝ったんだ」
「物凄いお話だね」
「黄海海戦にも勝ったことは知ってたけれど」
「そんな風だったんだ」
「そうなんだ、他にも攻撃を受けて周りが大変なことになっていても」
 それでもというのです。
「東郷さんだけが元気だったりしていたから」
「凄いね」
「本当に運がよかったんだ」
「まさに神がかりだね」
「とんでもないまでに運がいいわね」
「そんな人だったからね」
 それでというのです。
「山本さんも連合艦隊司令長官に推したんだ」
「うん、そこまで運がいいならね」
「勝てるよね」
「そして実際に勝ったし」
「何も言うことはないね」
「そうだね、運がいいことは」
 このことはというのです。
「それだけでね」
「力だね」
「理屈抜きに」
「スポーツでも運が悪いと勝てないし」
「それだけで違うからね」
「そうだね、ちなみにこの戦争は不思議なお話も多いんだ」
 日露戦争のそのお話もするのでした。
「日本海海戦の前に坂本龍馬さんが皇后陛下の枕元に出たとか」
「さっきお話にも出た」
「薩長同盟を締結させた人じゃない」
「海援隊も組織した」
「幕末で特に有名な人のお一人だよ」
「その人が日本海海戦は日本が勝つと言ったり」 
 そうしたことがあったというのです。
「出港前の三笠のマストに鳥が止まったりね」
「何かの予兆みたいだね」
「まさに勝利を予言する様な」
「そんな感じがするわね」
「狐や狸が人間に化けて戦争に参加したとか」
 日本のというのです。
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