第百二十四話 運動会その六
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「屋根がなくて土とね、あの大銀さんね」
「あれね、あれもないと」
「甲子園じゃないでしょ」
「イメージ湧かないわね」
一華は腕を組み神妙な顔になって答えた。
「確かに」
「他の球場もそれぞれね」
「個性があって」
「チームにもあって。全部ドームだと」
「その個性がなくなるの」
「なくならなくても薄まる気がするのよ」
そうだというのだ。
「甲子園もドームでなくてもいい球場だし千葉のね」
「ああ、マリンスタジアムね」
「ZOZOね、あそこもドームじゃないでしょ」
「千葉に親戚いてあそこと柏レイノルスのサポーターやってるけど」
それでもとだ、一華は答えた。
「いい球場って言ってるわ」
「それ有名よね」
「確かに風が強くてね」
マリンスタジアムはこのことでも有名であるのだ。
「霧も出るわ」
「日本シリーズでも出たわね」
「ええ、あれはなかったわ」
一華はその時のシリーズ全体も振り返って話した、阪神ファンにとっては忘れられない二〇〇五年のことである。
「悪夢だったわね」
「濃霧コールドとか言われた」
「何で出るのよって思ったわ」
「けれどね」
そうしたものも出る球場だがというのだ。
「あそこもいいっていうし」
「私マツダスタジアム好きなのよね」
富美子が言ってきた。
「あそこもドームじゃないけれどね」
「いい球場よね」
「ええ、雰囲気いいわよ」
かな恵に笑顔で答えた。
「あそこもね」
「それで富美子ちゃんも好きなのね」
「ええ、ドームは雨でも試合出来てね」
「風もなくて虫も入らないし」
「快適よね」
「温度だって調節出来るし」
ただしペルーナドームは屋根があって雨でも試合が出来るだけだと言われている、春先は寒く夏は暑いと言われている。
「それでね」
「快適よね」
「だから巨人が真っ先に本拠地にしたし」
東京ドーム、日本の首都のど真ん中山手線のそこから禍々しい悪の瘴気を放ち続けている人類文明が生み出したおぞましい魔境である。
「他のチームもね」
「続いたわね」
「それで今は十二あるチームの半分位はね」
「ドームが本拠地よね」
「そうなってるわ、快適なのはね」
「事実ね」
「けれど全部ドームだとそれはそれでね」
どうにもというのだ。
「寂しいかなってね」
「かな恵は思うのね」
「これからも甲子園みたいに」
「ドームじゃない球場もあっていいのね」
「そう思うわ、実際甲子園って日本一の球場って言われるし」
これは昔からである。
「ドームじゃなくてもね」
「いいのね」
「そう思うわ」
こう言うのだった、そしてだった。
クラスで応援をしていってだ、選手になるとそちらに出ていたが。
その中でだ、留奈はこんなことを言
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