第二十九章
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「今の俺はだ」
「そうか。なら今それを見せてもらおう」
「翔太郎、気をつけるんだ」
フィリップが左に忠告する。
「この波動に敗れたら」
「何もかもが終わりか」
「君の精神が完全に破壊されてしまう」
そうなるとだ。強い声で忠告するのだった。
「だからだ。ここは何としてもだ」
「この波動に負けるなっていうんだな」
「もう感じている筈だ」
また言うフィリップだった。
「その恐怖を」
「ああ、確かにな」
左はそれをだ。その通りだと述べるのだった。
「今、俺は正直怯えてるな」
「そう、やっぱりそうなんだね」
「けれどな」
それでもだというのだった。ライダーは今踏ん張る姿勢で立っている。そのうえで黒い波動を前から受けてだ。踏ん張っているのだ。
両手にも腰にも力が入っている。その姿勢になってであった。
「俺は勝つ」
「勝つんだね」
「あの時と同じだ。俺は恐怖に勝つ」
こう言うのだった。
「絶対にだ」
「じゃあ僕は」
「ああ、どうするんだ?」
「君を信じることにするよ」
これがフィリップの考えだった。
そしてだ。彼はだ。左に対してこんなことを言うのだった。
「実は僕にもね」
「攻撃が来ているんだな」
「うん、この黒い波動は君にだけ向けられたものじゃない」
こう左に告げる。
「僕に対してはね」
「何を攻撃しているんだ?」
「消えることだよ」
それだというのだ。
「君と別れた。あの時の辛さを」
「もう一度味あわさせられているんだな」
「そうなんだ。この辛さに敗れたら」
「消えるか」
「君が敗れた時と同じ様にね」
「そうか。そうなるんだな」
そこまで聞いてだ。左は。
あらためてフィリップに対してだ。こう言ったのだった。
「なら俺はだ」
「君は?」
「その御前を信じる」
これが左の言葉だった。
「御前が俺を信じる様にだ」
「そうしてくれるんだね」
「当たり前だ、俺達は何だ」
左が問うのはこのことだった。
「何だ、俺達は」
「パートナーだよ」
「そうだな、だがな」
「だが?」
「只のパートナーじゃない」
言った。それは。
「最高のパートナーだ」
「僕は翔太郎にとって」
「ああ、最高のパートナーだ」
まさにだ。それだというのだ。
「だからだ。俺は何があっても御前を信じる」
「そうだね。僕もね」
「御前もなんだな」
「うん、同じだよ」
こう言うのである。
「僕も翔太郎はね」
「最高のパートナーなんだな」
「そうだよ、まさにね」
「そうか、そう言ってくれるんだな」
「僕達は二人で一人なんだ」
そのことをだ。確かめ合いもするのだった。
「だから今は」
「ああ、勝つぞ」
「それぞれの心の戦いに」
「二人
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