第九話 山が多い国その二
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「まずは東京をね」
「調べていくことだな」
「俺達がね」
そうしてというのだ。
「やっていこう」
「このままな」
「そういうことでね。あとドクターマンって一人でいそうだね」
「私もそう思う」
トリンはドクターマンに確かにという声で応えた。
「アジトはあってもな」
「何かもうまた組織を立ち上げてやっていくとか」
「そんな感じはしないな」
「お金と技術はあっても」
「ドクターマンは完全に敗れた」
ギア崩壊の時にというのだ。
「そうだな」
「それであの時死んだと思われていて」
「全てを失ってな」
「その時の全てに心もあったんだ」
「そうだ、心が折れた」
ドクターマン、彼はというのだ。
「ギア崩壊の時にな」
「完全に敗れて」
「彼自身もな、そうなったからな」
「もう新しい組織を立ち上げる気力もなくなった」
「幾ら敗れててもね」
福井が言ってきた。
「気力さえあればまた立ち上がって」
「そしてだ」
トリンは福井にも話した。
「再びだ」
「組織も立ち上げられて」
「そのうえでだ」
そうしてというのだ。
「また人間社会と戦おうとはな」
「思わないというかね」
「思えない筈だ」
「心が折れて」
「まさに尾羽打ち枯らしてだ」
その状況でというのだ。
「一人でいる筈だ」
「そうとしか思えないわね」
「私もな」
「あの人に孤独はついて回るのかな」
津古内は考える顔になって言った。
「ギアの頃のことを聞いてもね」
「孤独だな」
「うん、そして今もね」
生きていることがわかったがというのだ。
「どうしてもね」
「孤独を感じるな」
「そうなんだよね」
「私もそう思えて仕方ない」
トリンは津古内にも話した。
「彼についてはな」
「どうしてもだね」
「孤独は辛い」
トリンは悲しそうに述べた。
「非常にな」
「その孤独の中にずっといて今もいる」
「私はドクターマンの思想も行動も肯定出来ない」
トリンはこうも言った。
「間違っていると言える、しかしだ」
「それでも」
「その孤独には思うところがある、そしてだ」
津古内にこうも言った。
「もう罪は償ったと見ている」
「組織が壊滅して死んだと思われていて」
「今の彼は無だ、白紙と言っていい」
そうした状況だというのだ。
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