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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十三話 鳴動
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ーの再来…」
「ヤマト・ウィンチェスターか」
「そうだ。昨年はまんまと手玉に取られてしまった」
「生きて還れたのが不思議なくらいだ。あれで昨年の運は使い果たしてしまった様なものだ」
「奴等の侵攻はアムリッツァで止まっているものの、近隣の星系は叛乱軍の庭の様になっているからな。帝国軍がこれ程外敵の圧に弱いとはな…」
「それほどイゼルローンの存在が大きかったって事だ…しかし、叛乱軍は何故アムリッツァで停止しているのだ?アムリッツァを確保するのは解る。あれによって我軍は受動的な立場に置かれてしまった。主導権は奴等が握っているのだぞ」
…今にして思えば、それこそが叛乱軍の思惑だったのかもしれない。戦いの主導権が移った、と此方に思い込ませ、焦燥感を煽る…二十年以上も動かなかった戦局が動いたのだ、政府、軍首脳部の受けた衝撃は相当なものだったろう。俺やロイエンタールとてこれはまずいと思わされたものだ。それが一昨年の中途半端な奪還作戦を行う羽目になり、昨年の無様な包囲殲滅戦に繋がった…。
「思えば、アムリッツァ自体が餌なのだ。奴等はアムリッツァから動かない事で我等の戦力の漸減を狙っているのだ。ミッターマイヤー、だとすれば奴等は勢いに乗るだけではない、相当長期的な戦略を立てているぞ」
「おそらくウィンチェスターが絡んでいるのだろうな」
「そうだろう。厄介な相手だ」




宇宙暦795年5月18日21:00

バーラト星系、首都星ハイネセン、自由惑星同盟、ハイネセンポリス、三月兎亭(マーチ・ラビット)、ヤン・ウェンリー

 「改めておめでとう、ラップ、ジェシカ」
今日はラップとジェシカの結婚式だった。今は二次会も終わって一段落、といったところだ。
「次はお前の番だぞ、ヤン」
「そんな事言われてもなあ。肝心の相手が居ないよ」
「あら。エル・ファシルの英雄はおモテになるのではなくて?貴方の立場なら選り取り見取りじゃないの?」
「本当にそうだったら今頃二人に紹介しているさ」
「お前の副官のグリーンヒル少尉はどうだ?ウィンチェスター閣下のところのローザス大尉って手もあるな」
「やめてくれよ。どっちにしても仕事がやりづらくなるよ」
「カヴァッリ大佐って線もあるな」
「…彼女はリンチ少将の身内だ。私は敬遠している訳じゃないが、マスコミや周りに何を言われる事か」
「あ…そうだったな」
「ヤン、周りの目を気にする様な人だった?貴方」
「そういう訳じゃない。リンチ少将をだしにして私は助かった様なものなんだ。結果として多くの民間人を救う事は出来たが、少将を見殺しにした事には違いない。表向きはどうあれカヴァッリ大佐はそれを快く思う事はないと思うよ」
「そういう物かなあ」
「それに大佐は結構モテるんだ。私なんか相手にされないよ」


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