激闘編
第八十三話 鳴動
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月18日19:00
オーディン、ミッターマイヤー邸
ウォルフガング・ミッターマイヤー
「じゃあなミッターマイヤー。また明日」
「たまには寄っていかないか。まあ、家で誰か待っているのなら無理にとは言わんが」
「奥方との団欒の邪魔ではないか?」
「いや、エヴァに言われたんだ。たまには夕食にでも誘ったら、って」
「そうか…では御相伴にあずかるとしようか」
勤務中を除けば、ロイエンタールと飯を食うなんて結婚前まで遡らないと記憶にない。オーディンにいる時は、俺はほとんど真っ直ぐ家に帰るし、ロイエンタールもいろんな女の相手で忙しいから、プライベートで二人で会うなんて機会は今ではほとんど無いに等しい。
「ようこそいらっしゃいました、ロイエンタールさん」
「お邪魔致します、フラウ・ミッターマイヤー」
「そんなかしこまらないで下さいな。エヴァ、とお呼び下さいね」
おいおい…エヴァの奴、気安くないか?
「フラウ、ご馳走になりました、いや、とても美味しかった…卿は幸せ者だぞミッターマイヤー。軍人など辞めて家業を継いだらどうだ」
「花屋をか?駄目だ駄目だ、俺は花屋の跡取りとしては失格だ。なにせ花言葉の一つも知らんのだ…いや一つは解るか…おい、笑うなよエヴァ」
「黄色い薔薇、か?」
「そうだ。後から知った時は顔から火が出る思いだったよ」
「卿は花言葉に限らずその手の話にはとんと疎いからな」
「卿とは違って、か?……エヴァ、後はこっちでやるから、休んでいなさい。さあロイエンタール、乾杯しよう」
「ああ。乾杯」
自然と話題は昨日行ったシミュレーションの話になった。ケスラーを艦隊指揮官として、俺、ロイエンタール、そしてメックリンガーの四人のチームと対戦したのは赤毛ののっぽ…キルヒアイスだった。指名したのはケスラーだった。赤毛ののっぽは付属品…今まではそれで良かった。だが今回の様な、ミューゼル…司令官の下を離れ独力で戦わねばならないケース─地位が上がれば益々増えていくであろうケース─を考えれば、赤毛ののっぽとて友軍として考えなければならない状況が出てくる。そうなった時、本当にただの赤毛ののっぽでした、では話にならないのだ。
「…強かったな、赤毛の奴。シミュレーションとはいえ、『ロイエンタール分艦隊、四割ノ損失』…聞いた時は耳を疑ったぞ」
「キルヒアイスか…そうだな、奴は強かった。卿も三割の損失という判定だったな」
「うむ…自惚れている訳ではないが、卿と俺が一緒に戦って勝てない相手が居るとはな」
「メックリンガーもあの状況では手を出せまい…まあ負けなかったのだ。それに、味方に勝つ事より敵に勝つ事を考えようではないか」
「敵?叛乱軍か?反乱者か?」
「どちらもだ」
「叛乱軍と言えば、あの男は今頃何をしているだろうか。アッシュビ
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