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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十三話 鳴動
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までは参謀という立位置に居られたから、その能力を発揮できていたかといわれたら難しいだろう」
「ほう…では艦隊司令官としてはどうなのだ?自らが意志決定者の地位に就いたなら」
「閣下の部下である事を誇りに思う日が来るだろう。俺はそう思っている」
「卿がそこまで評価する軍人は…隣にいらっしゃるミッターマイヤー准将の他は見たことがない。最上級という事だな」
「ああ。若さ故の失敗はあるかもしれない。だがそれは目の前の獲物が大き過ぎる時だ。そんな時は俺達だって人の事は言えんだろう」
「…そうだな。というか、俺達だってまだ充分に若い方だろう」
「そういえば、そうだな」

 私は普段ラインハルト様と一緒に居るから、こうやって皆と行動する事などほぼ無いに等しい。ラインハルト様が推挙した方々がラインハルト様に対してどんな気持ちを抱いているのか、確認出来るまたとない機会だ。確かに見ず知らずの人間が自分を評価して推挙したのだから、ラインハルト様の為人は気になるところだろう。
「いかんな卿等。自分の直属の上官を評価するなど」
「常識人ぶらないで貰いたいなメックリンガー。卿だって気になるだろう?」
「私は知り合いから閣下の事は聞いていたよ。推挙されなくても自ら進んで馳せ参じるつもりでいたんだ」
メックリンガー准将…確かヴェストパーレ男爵夫人の知人だ。軍人ながら芸術家としても名が知られているという…そうか、男爵夫人からラインハルト様の事を聞いていたのか…。
「卿等、そろそろ本題に入ろう。どうやら時間はあまり無さそうだ」
豪胆で実直、軍人というよりは少壮の弁護士といった風貌のケスラー参謀長が場を引き締める。
「キルヒアイス大佐、卿が一番ミューゼル閣下と親しい。閣下ならどうお考えか理解出来るとおもうのだが…参謀長に任じられているとはいえ、この様なケースは初めてでな」
「確かにそうですね…ミューゼル閣下は皆さんがそれぞれの力を発揮される事をお望みです。参謀長がそのまま全体の指揮と統括を、右翼と左翼はミッターマイヤー提督とロイエンタール提督が、中央後方にメックリンガー提督…で宜しいのではないでしょうか」
「攻守の均衡に優れる二人を前衛、中央後方から前を見渡す位置にメックリンガー提督という事か。適材適所だな」
「はい」
「よし、この編制で一度シミュレーションをしてみよう。相手は…そうだな、キルヒアイス大佐、頼む」
ミッターマイヤー准将、ロイエンタール准将の二人が意味有りげに微笑するのが見えた。私は…そうだ、試されているのだ。お前に、俺達に着いてくる資格はあるのかと……皆から見れば私は、ラインハルト様の幼なじみ、付属品としか見られていないのだろう……自分の力を正しく知るいい機会かもしれない。
「…了解しました。お手柔らかにお願いいたします」



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