激闘編
第八十三話 鳴動
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、ワーレン」
「たまに卿が羨ましくなるよ、ロイエンタール准将」
再び皆が笑った。ロイエンタールとワーレンは士官学校の同期だという。在学中は特段親しいという訳ではなかったらしい。同期生か…後でチェックしてみよう。一人くらいはめぼしい奴がいるかもしれん…。そのまま皆が談笑していると、参謀長のケスラーが入ってきた。誰か此方へ寄越せというのでミュッケンベルガーの下へ行かせていたのだが、何かあったのだろうか。
「閣下、お耳を」
「…了解した。皆聞いてくれ。カストロプ公が亡くなられた。領地へ戻る途中の事故、だそうだ。噂をすれば、だな。何時出撃となるか分からない、後は卿等でよく話合う様に。解散」
皆一様にざわめきつつ事務室を後にしていく。事故死だと?そう都合よく人が死ぬものか…いや、この帝国では都合よく人が死んだり居なくなったりする事がよくある。
「ラインハルト様、これは…」
「殺されたのだろうな。カストロプ公が捕まると都合の悪い人間が居るのだろう」
「なのでしょうね…艦隊ですが、一両日中には出撃準備が整う予定です」
「了解した」
「本当にラインハルト様はお出にならないのですか?」
「ミュッケンベルガーにはそう掛け合ってある。若しカストロプ領に出撃する場合は部下達を出すとな。彼等の力量をミュッケンベルガーに認めさせるいい機会だ。キルヒアイス、お前もだぞ」
「有難い話なのですが…」
「なんだ、自信がないのか?」
「そうではありません、留守中のラインハルト様が心配なのです」
「大丈夫さ。お前のいない間に羽を伸ばすとするよ」
「やはり俺も行けばよかった…とか、後から仰らないで下さいね」
14:30
ミュッケンベルガー元帥府、第二会議室
ジークフリード・キルヒアイス
「閣下も太っ腹だな、我々に功績を立てる機会を下さるとは。ヒルデスハイム艦隊に配属された頃から思っていたのだが…キルヒアイス大佐、ミューゼル閣下は何故我等に目をかけて下さるのだ?」
「小官も詳しくは聞いていないのですが、以前から皆さんの経歴を調べていた様です、ワーレン大佐」
「…不遇をかこっていると?」
「はい。能力に比して場を得られていない、平民や下級貴族であるというだけで正しく評価されていない…閣下は軍の最高位を目指しておいでです。その時に自分を支える事の出来る有能な部下が欲しいと常々仰っています。まあ、先に皆さんがミューゼル閣下を追い抜く事があるかもしれませんが」
「その時は?」
「再び追い抜けばよい、と」
「はは…顔に似合わず豪気なお方だな。ロイエンタール准将、キルヒアイス大佐を除けば卿やミッターマイヤー准将が我等の中で一番近くでミューゼル閣下を見てきた筈だ。実際、どんなお方なのだ」
「まあ、若いな。若いが苦労人だ。能力も高い。高いが今
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