激闘編
第八十三話 鳴動
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利息はかなりの額です。そこからカストロプ公に袖の下を渡したとしても痛くもない。フェザーンは必要経費くらいにしか考えていないでしょう」
国内での収賄ならまだ目を瞑る事も出来るが、国を跨ぐとなると話は別だ。フェザーンは自治領として帝国の一部とはいえ、内実は独立国に近い。フェザーンに対してあまりあこぎな事をすると心情的にも物質的にも叛乱軍に追いやりかねない。しかも金の蛇口に手を掛けられて…だ。
「だが伯爵、よく調べたな」
「密告があったのです。金の流れを押さえた詳細な資料と共に」
「ほう」
「密告者は帝国とフェザーンの友人と名乗りました。帝国への協力は惜しまないが、それは一部政府閣僚の私腹を肥やす為に行っているのではない、多少なら目も瞑るが、あまり派手にやって貰うのは困る。何とかしていただきたい…と。おそらくフェザーン自治領主府の紐付きと思われます」
「身勝手な言い種だな。本当に迷惑なら初期の段階で申し出ればよかろう…新たな財務尚書の選定を急がねばならんな。陛下にもご報告せねばならん、頭の痛い事じゃ」
「ご心痛、お察しします。新たな財務尚書が決まりましたらお教えください。その時点でカストロプ公の拘禁に踏み切ります」
「うむ。宜しく頼む」
頭を深く下げてルーゲが出て行く…皆あの様な誠心誠意仕えてくれる者ばかりならのう…役得もよいが身をわきまえて欲しいものじゃて。
「ワイツ、聞いての通りじゃ。解って居ろうが、他言は無用じゃぞ」
「承知して居ります。それで人選についてでございますが、ゲルラッハ子爵では如何でございましょう」
「おお、ゲルラッハか。あの者なら誠心誠意務めるであろう、午後でよいから此方に来るように伝えてくれ」
5月16日13:30
オーディン、軍務省、軍務尚書公室、
グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー
この部屋に来る時は、ろくでもない報せがある時、と相場が決まっている。
「麾下の艦隊の状況はどうかな、司令長官」
「やっと十個艦隊の錬成が終わったところだ。そして、報告した通り更に四個艦隊を編制中である」
「卿一人で統御出来るのか?副司令長官を置いた方がよいのではないか?どうだ、本部長」
「統帥本部としては指揮権の分与は望ましくないと考えているが、確かに十四個艦隊ともなると統制に難がある事は認めざるを得ない。尚書の御意見は尤もである」
「儂が無能と言っているのかな、二人とも」
「そうではないぞ司令長官。円滑で適切な兵力運用の為に副司令長官職が必要ではないか、と言っておるのだ。なあ本部長」
「尚書の御意見は尤もであるが、司令長官が兵力の統帥に疑問を感じていない以上、無理に勧める物ではないと思う」
「…まあよい。今日二人に来てもらったのは…ちと少々厄介な事が起きそうでな。特に司令長官、卿の力を借りねば
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