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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十三話 鳴動
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せんがその…よろしいのですか、例のご老人達のご意向は」
「構わん。今までの方針に一部修正を加えるだけだ。当初の方針に固執すると計画全体が上手くいかなくなる場合もある。あの方々には私から説明する」
「了解いたしました。早速修正案の検討に入ります」




5月15日09:00
ヴァルハラ星系、首都星オーディン、銀河帝国、新無憂宮、南苑
クラウス・フォン・リヒテンラーデ

 「フェザーンが了承したというのか?有難い話ではあるな」
「御意にございます。また新規発行の国債があるのであればそれについても考慮してもいいと。新規発行分の総額についてはこちらの資料をご覧下さい」
「ふむ…これについてはあまり歓迎出来る事ではないな」
カストロプ財務尚書…十年以上も財務尚書の職にあって、公務の数倍私腹を肥やす事に努力を続けて来た男…国債償還期限の延長をフェザーンが了承?それは有難いとしても新規国債の引き受け?それはフェザーンの都合ではないか、それをさも自分の功績の様にまくし立てるとは…そもそもこの様な大事は高等弁務官府から前もって報告がある筈だ、自治領主補佐官と財務尚書のやり取りだけで済む話ではない。それに国債の発行額が過大すぎる。国債で賄っているのは追加予算…主に戦費だが、軍は不要な基地を統廃合し、不必要な支出の削減を図り艦隊の再建費用を捻出している。また、イゼルローン要塞の維持費が無くなった事で浮いた予算も艦隊の再建に充てていると聞いている。国債を新たに発行しても国内向けの物だけでよい筈だが…。
「国債の発行額については再考が必要であろう、もう一度検討してみてくれぬか」
「そう…でございますな。では再検討して新しい報告書をお持ち致します」
 
 ふん、不満を隠そうともせなんだわ…。
「ワイツ、隣で待っておるルーゲ伯を呼んでくれぬか」
「かしこまりました」
ルーゲ伯爵…司法尚書でもありカストロプの行状に憤りを感じている一人でもある。
「待たせて済まぬ。話は聞こえておったか」
「はい。まさか国債に関しても私腹を肥やすのに利用していたとは…」
国債を発行する。帝国から国債を買えと言われればフェザーンは買うしかない。国債には当然利息がつく。フェザーンに買わせた国債の利息の一部をダミー会社を何社も経由して顧問料の名の下にマージンとして受けとる。フェザーンの商人や企業が帝国との交易を行うには帝国財務省の許可が必要である。許可を受けた者達はカストロプを自社の名誉顧問とする。いつの間にかそれが通例になっていた。奴はそれを悪用しているのだ。
「交易の許可を与えたフェザーンの商人や企業にダミー会社を作らせる。そのダミー会社に更に交易の許可を与え、そこを受け皿として賄賂を取る…一応戦時中とあって我が国の国債は高金利ですからな。フェザーンが受けとる
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