【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第5章】第二次調査隊の艦内生活、初日の様子。
【第2節】ティアナが〈破壊王〉と呼ばれる理由。
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゙クブル)」
エドガー「まあ、相手が全力でシールドを張って『無駄な抵抗』をしたのも、良くなかったんでしょうねえ。最初から随分と古びた石造りの……それこそ、大きな地震でも来たら一気に倒壊しそうな街並みでしたから。(苦笑)」
ゼルフィ「でも……その歴史ある街並みって、その後、ちゃんと再建されたりしたんですか?」
ゼルフィのそんな素朴な疑問に、エドガーは大きく肩をすくめてみせました。
「それなんですけどねえ。この事件には、少々不愉快な後日譚がありまして。実は、その一帯は、もう随分と前から再開発計画の持ち上がっていた区域だったんですが……もう少し具体的に言うと、州議会の方は経済効果を理由にその一帯の再開発を推し進めようとしていたんですが……拒否権を持った州知事が歴史遺産保護という名目で、ずっとそれを押し止めていたのです。
ところが、実際に〈ゲドルザン・ファミリー〉を潰した後で解ったのは、その州知事が彼等から定期的に賄賂を受け取っていた、という事実でした。要するに、州知事はファミリーに居場所を与える代わりに、いわゆる『ショバ代』を巻き上げ続けていた、という訳です」
「うわあ。それ、絶対ダメなヤツじゃん……」
「まあ、その辺りは現地陸士隊の仕事で、ティアナさんや私たちはもう関与していないんですけどね。その贈収賄が発覚して州知事が更迭された後に、旧市街の再開発計画が一気に進んだ結果、その一帯も、今ではもう『歴史的な面影など欠片も無い』真新しい街並みに変貌してしまったのだそうです」
「あちゃ〜」
「聞くところによると、多くの議員たちが『立場上、公言はできないが、内心ではティアナさんに随分と感謝をしている』という話なのですが……。一方、その一帯から『立ち退き』を強いられた貧しい人々は、今でも彼女のことを随分と怨みに思っているのだそうです」
「ええ……。でも、それは全然、ティアナさんのせいじゃありませんよね?」
「そうですね。元を正せば、州当局の都市計画や貧民対策の杜撰さが問題だった訳で……。実のところ、今にして思えば、あの一帯は『歴史遺産』とは名ばかりの街並みでした。小綺麗なのは表通りだけで、一歩裏に入れば、事実上の貧民窟だったのです。
当時、ゲドルザン・ファミリーは、そうした人々に曲がりなりにも『仕事や食事』を与えていたので、地域住民はおおむねファミリーを支持していました。とは言っても、現実には、ファミリーの側も決して善意で奉仕活動をしていた訳では無く、『必要に応じて自由に使える手駒を、普段から計画的に養っておこう』という打算で、そうしていただけだったのですが……。それでも、やはり、日々の食事にも困っていた人々にとっては、ファミリーが自分たち
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