暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第5章】第二次調査隊の艦内生活、初日の様子。
 【第2節】ティアナが〈破壊王〉と呼ばれる理由。
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二人にこう問いました。
「え? 中等科の3年生の8月だったら、進路はもう決まってなきゃいけないんじゃないの? て言うか、あなたたち、その段階でまだ管理局員になるかどうかも決まってなかったの?」
「いや。もちろん、私らも6歳児の集団検診で『それなりの魔力の持ち主』と解ってからは、ずっと『管理局員』は有力な選択肢の一つだったし……。だからこそ、中等科は頑張って魔法科に進学したりもしたんだけどさー」
「ぶっちゃけ、アタシらの地元じゃ、中等科を出てすぐに就職する子が大半っスからね。アタシの父親もマチュレアの父親も稼ぎの悪い(ひと)だったから、『この子も早く、何か仕事に就いて、家に(かね)を入れるようになってくれないかなあ?』って感じだったんスよ」
(うわあ……。)
 ゼルフィは普通の(それなりに裕福な)家庭で育っていたので、この話にはもうドン引きです。

「で、その時のことなんだけどさー。私らがふと気がつくと、平日なのに、墓地の方に一人だけ人がいてね。何だか結構な美人さんが、お墓の前にひとつ花束を置いたまま、呆然と立ち尽くしてたのよー」
「それを見て、アタシらは『あれって、死に別れた恋人なんスかねえ?』とかテキトーなコト言って、勝手に盛り上がってたんスけどね」
(……進路の話は、どこへ行ったのよ……。)
 そんな(あき)れ顔のゼルフィを他所(よそ)に、マチュレアとフォデッサはさらにこう話を続けました。

「そしたら、港の方で何だか急に騒ぎが起きてさー。後から聞いた話なんだけど、実は、その貨物船が密輸船でね。小型のモノばかりなんだけど、爆薬とか、実弾の銃器とか、ミッド各地の犯罪者用に相当な量を運んで来たらしいのよー」
「でも、地元の陸士隊も、その情報は事前につかんでたっスから。密輸船が接岸して、機関を完全に止めて、タラップを降ろしたトコロを見計らって。いきなり何台もの警邏(けいら)車両でその埠頭(ふとう)を取り囲んで、タラップの昇降機を破壊した上で、一斉に乗り込もうとしたんスけどね」
「一体何をトチ狂ったのか、その船の船員どもが何人か、売り物の銃器を手に甲板(かんぱん)の上からバンバン撃ち始めてさー。陸士隊の方も、実弾の銃器になんてまだ慣れていない連中が多かったのか、もう迂闊(うかつ)には近づくこともできないって感じになっちゃって」
「みんなでシールドを張ったまま、その船をただ遠巻きに取り囲んでるだけ、みたいな状況になっちまったんスよ」
「私らは高みの見物で、『陸士隊、ビビってんじゃねえよ!』とか、『とっとと突っ込めよ! お前ら、税金泥棒かよ!』とか、自分たちが今、一般市民から言われたら、いきなりキレそうなコトを平気で叫んでたんだけどさー。(笑)」
「うわ〜。二人とも、性質(たち)の悪い一般市民だったんだな〜。(笑)」
「当時
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