暁 〜小説投稿サイト〜
魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第5章】第二次調査隊の艦内生活、初日の様子。
 【第1節】カナタとツバサは悩み多きお年頃。
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は、去年の暮れに、二人でちょっと立ち聞きしちゃったコトがあって……。その時は、部隊長が副官に『あの子たちは「あのお二人」の娘なんだから、いつまでもウチなんかで預かっていて良い子たちじゃないんだぞ』みたいな言い方をしてましたヨ」

「私たちの進路に関する『お気づかい』そのものは、確かに有り難いのですが……」
「最初から『お客様あつかい』ってのも、何だか寂しい話だよネ〜。これでも、ボクらは陸士隊の中で一生懸命やってるのにサ〜」
 すると、ザフィーラは不意に、小さな笑い声を漏らしました。
「それは、また随分と贅沢(ぜいたく)な悩みだなあ」
「いや! ここで笑わないでくださいよ!」
「ボクらにとっては、真剣な悩みなんですから!」
 ツバサとカナタは大真面目(おおまじめ)な口調で返しましたが、それでも、ザフィーラにとっては、それは実に微笑(ほほえ)ましいレベルの悩みでしかありません。
「悩め、悩め。そうやって一つ一つの事柄に時間をかけて悩んでいられるのも、小児(こども)の特権だ。大人になってしまったら、もうそんな暇は無いぞ」
「うわ〜。それを言われちゃうと、もう返す言葉が無いな〜」
「では、お言葉に甘えて、もう何年かはアレコレ悩んでみるとしましょうか」
 カナタもツバサも、これにはもう弱り顔で苦笑を浮かべる以外には、どうしようもありませんでした。


 一方、向こうのテーブルでは、ディナウドとガルーチャスの紹介が済むと、今度はフェルノッドがひとつ、ガルーチャスにこう問いかけていました。
「リブゲネイグとは、また珍しい苗字だけど……ひょっとして、キルバリス系かな?」
「うわ、よく御存知で! ええ。オレ自身は首都圏地方の生まれなんですけど、オヤジとオフクロは元々、キルバラから出て来た人なんですよ」
「実は、私たちと同じ部屋にもう一人、キルバラ地方から来た人がいるのですが、その先輩の話によると、EIGというのはキルバリスの古い言葉で、元々は出身地の地名から苗字を作る時に使う『接尾辞』なのだそうです」
 ディナウドが相方(あいかた)の雑な言葉に一言そう説明を加えると、今度はゼルフィが、今さらながら、ガルーチャスにこう問いかけます。
「じゃあ、何? キルバリスには『リブゲン』って地名がある訳?」
「あの世界の地名なんざ、オレが知るかよ!」
 ガルーチャスは、本当に嫌そうな口調でそう吐き捨てました。

「と言うか、キルバリスは今、『局の方針として渡航禁止になっている』ということなのでしょうか?」
 ディナウドが、今度はエドガーにそう問いかけました。
「ええ、そうです。キルバリスの中央政府は〈九世界連合〉の時代から、もう二百年以上も鎖国政策を続けており、『他の世界から来た艦船は、すべて無条件で打ち払う』と公言していますからね。管理
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