【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第5章】第二次調査隊の艦内生活、初日の様子。
【第1節】カナタとツバサは悩み多きお年頃。
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いよ」
「なんだー! そっちかー!」
マチュレアは思わず舌を打ち、悔しげな声を上げました。『それより、模擬戦での活躍ぶりの方を覚えていてくれれば良かったのに!』と言わんばかりの口調です。
そして、次に、ゼルフィとノーラの紹介が済むと、ジョスカナルザードがまた例によって何やらチャラいコトを言いました。
ゼルフィとノーラは笑ってそれを受け流しましたが、ガルーチャスがすかさず、それに便乗する形で軽いセクハラ発言をすると、ゼルフィは無言のまま、右隣に立つガルーチャスの胸板に強烈なツッコミ(物理)を入れます。
これに対し、ガルーチャスは両手で胸を押さえ、必要以上に大げさな反応をしました。
「ちょっ! てめ! いきなり裏拳はやめろよ! マジで痛えだろう!」
「アンタの暴言で私の胸がその程度には痛んでいないとでも?」
「けっ! よく言うぜ。お前がそんなタマかよ!」
言葉は乱暴ですが、よく見ると、お互いに目が笑っています。おそらく、一貫校にいた頃から、この程度のやり取りは日常茶飯事だったのでしょう。
カナタとツバサは、その様子を肩越しに見ながら、ふと寂しげな微笑を浮かべました。
その表情が気になって、ヴィクトーリアもふと小さく声をかけます。
「どうしたの? 二人とも」
「いやあ、何て言うか……。実を言うと、ああいうのって、ボクらはちょっと羨ましいんですヨ」
「私たちには、軽口を叩き合えるような同年代の友人なんて、一人もいませんからねえ」
二人は少し恥ずかし気な口調でそう答え……一拍おいてから、ツバサは慌ててこう言葉を付け加えました。
「いえ! 私もカナタも、もちろん、頭では解っているんですよ。私たちは、大変に恵まれた環境で生まれ育ちました」
「うん。それは、もちろん、解ってるサ。……て言うか、そもそも、あの母様たちの娘としてこの世に生まれて来ることができたという時点で、『ただそれだけで、もう一生分の運をすべて使い切っていたとしても、不思議じゃない』というほどの幸運なんだよネ」
「おかげで、一般の12歳児だったら知り合うことすらできないような方々とも、こうして普通にお話などできている訳ですし……」
「ただ、姉様や母様たちの知り合いは、みんな立派すぎて、齢も離れていて……とても『対等の友人』になんてなれないんですヨ」
「皆さんが私たちに気を使って、努めて気さくに語りかけてくださっているのは、解るんですけどね」
二人ともそう言ったまま、軽くうつむき、押し黙ってしまいます。
「そう言えば、二人とも、地球に幼馴染みとかはいないの? なのはさんや八神提督みたいに」
その沈黙がどうにも
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