八十二 英雄
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の力が戻ってしまう。
途端に劣勢になったナルのほうが逆に追い詰められ、一緒に口寄せされた大蝦蟇達も吹き飛ばされ、フカサクとシマもナルから引き離されてしまった。
ナルは知らないが、他の人柱力メンバーである新生“暁”の尽力で、ペイン六道の戦力は最初から四人となっている。
二人欠けていた故に、こちらに有利と思われるだろうが、なんせ彼女はペイン各々の能力も情報も前以て知らされていなかった。
綱手が口寄せ動物であるカツユを、崩壊した建物の下敷きになっている里人を救うのに使っている為、ナルには敵の戦力も能力も情報も何もない、事前情報無しで戦わざるを得なかったのだ。
だから餓鬼道・人間道・畜生道を蹴散らし、ペイン天道ただひとりにまで戦力を削ったナルは快挙を果たしたと言える。
だが──。
「これで少しはおとなしくなるか?九尾」
手の甲を、鋭い黒の杭で貫く。
動けない波風ナルを、ペイン天道は情け容赦なく、地面に縫い付けた。
「木を見て森を見ていない。お前には平和の意味が理解できていないだけだ」
天道の力を取り戻したペイン天道に成すすべもなく、地面に叩きつけられる。
地表に広がる罅割れが、ナルが受けた攻撃の強さを物語っていた。
「おとなしく掴まれ。お前の死が平和に繋がる──お前が死ねば、」
無表情で、天道はナルの身体に念入りに杭を打ち付ける。
杭からペインのチャクラが入り込むことで動けなくなっているナルの腕に、肩に、背に、膝に、足に。
手の甲と合わせて、六つ。
無情に、冷酷に、非情に、穿つ。
「平和は目前だ」
「そいつは困るな」
瞬間、ペイン天道の身体が動かなくなる。
ナルの身体に念入りにもう一本、突き刺そうとしていた七つ目の杭が、カラン、と音を立てて地面に転がった。
「俺にとっちゃコイツが平和の象徴でな。コイツが火影になった時、俺がこの超バカの隣に居てやらねェーといけねぇんだ」
杭が転がる。その先に、【影真似の術】を発動させた幼馴染の姿を見て取って、ナルは眼を見張る。
同時に、肩越しに振り返ったペイン天道は、自分を影で縛り付ける木ノ葉の増援をその渦巻く輪廻眼で認めた。
「な、なんで…なんで来ちゃったんだってばよ!?」
地面に縫い付けられている想い人の痛ましい姿に、眉を顰めながらも、「しゃーねーだろ」とシカマルは面倒くさそうに、けれど真剣な眼差しで告げた。
「ナルの相談役に俺以上の奴はいねーからよ。だから返してもらうぜ」
それは確かに、告白だった。
「未来の火影さま…いや、俺の大事な火影サマをよ」
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