八十二 英雄
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るその眼を更に鋭く細めた。
「なんだ?なにがどうなっている?」
凄まじい煙が立ち上っている。
一瞬で里を壊滅させた敵の攻撃の規模の大きさは眼を見張るものがあるが、それよりも気になる点がシカマルにはあった。
「誰か、戦ってんのか」
「…先ほど、綱手様からの伝令で、ナルちゃんが仙術を身につけて帰ってきた、と聞いた」
独り言のようなシカクの言葉に、「ナルが…!?帰ってきたのか」とシカマルは予想以上の過剰な反応を見せた。
妙木山で修行すると意気揚々と里を出て行ったナル。
本当は帰ってきてほしくなかった。こんな戦場と化した木ノ葉に。
ましてや、命を狙われているのに、安全だと言えないこの場に戻ってきてほしくなかった。
奴らの…『暁』の目的であるナルが危険な目に陥るのを防ぎたかった。
今にも飛び出そうとする息子を、シカクは先んじて忠告した。
「手を出すなよ、シカマル」
「……ッ、里をこんなにした奴だぞ!?ひとりで戦えると、」
間髪容れずに反論するシカマルの言葉を「イヤ…」とシカクは遮る。
「仙術を身に着けたということはもうレベルが違う。足手纏いにならないことが、ナルちゃんにしてやれるチームワークだ」
いちいちもっともな父の正論に、シカマルは顔を伏せる。
噛み締めた唇から流れた血が、彼の悔しさを物語っていた。
「ここは我慢しろ、シカマル」
わかっている。頭ではわかっている。
この馬鹿みたいに回転の速い頭脳では、理解している。
けれど、それでも。
だが、それでも。
「惚れた相手が殺されるのを黙って見過ごすような…そんな男にはなりたくねぇんだよ」
見殺しになどできるはずもなかった。
飛び出す。
戦場へ走り出す馬鹿息子を引き留めようとしたシカクは、折れた片足に舌打ちした。
父親の制止の声を振り切って、シカマルは駆けだす。
息子の背中を成すすべもなく見送りながら、シカクは折れた片足の膝を、八つ当たり気味に殴った。
「…ッ、馬鹿野郎が…」
【風遁・螺旋手裏剣】
風遁【螺旋丸】を核にして風のチャクラが巨大な手裏剣の形を象っているその新術は、風遁系のチャクラが針状に形態変化を起こし【写輪眼】でも見切れぬほどの攻撃回数で、対象の細胞の経絡系を全て損傷させるという、超強力な攻撃だ。
その術でペインのほとんどを倒し、残るは天道ただひとり、というところまでナルは相手を追い詰めていた。
しかしながらちょうどその時、里全体を壊滅させた【神羅天征】の反動で失っていた天道
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