八十二 英雄
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いの正義の為に動き、平和を成そうとしている」
正義という名の復讐へと駆り立てられた普通の人間。復讐を正義というならば、その正義は更なる復讐を生む。
憎しみの連鎖だ。
「お前はお前の正義の為に、俺は俺の正義の為に…」
故にひとは決して理解し合うことのできない生き物だと悟らざるを得ない。
忍びの世界は憎しみに支配されている。
「お前なら平和をつくるため、この憎しみとどう向き合う?」
「…………」
「答えられないか」
何も言えないナルの返答を暫し待っていたペインはやがて、嘆息した。
「その憎しみの連鎖を断ち切る為に立ち上げた…それが『暁』だ」
波風ナルが、長年のこの疑問に答えを示してくれることを少しでも期待した自分が愚かだったと、内心自嘲しながらペインは話を続けた。
「本当の痛みを世界へ知らしめ、その痛みの恐怖で戦いを抑止し、世界を安定と平和へ導く」
「そんなの…、そんなの…!嘘っぱちの平和だってばよっ」
「それがどうした」
ナルの僅かばかりの反論を、ペインは切って捨てた。
「この終わりなき憎しみの連鎖の流れの中に、一時の平和を生み出す…それが俺の目的であり、正義であり、」
そこで言葉を切って、ペインは波風ナルを見据える。
その輪廻眼の奥では、本当のペインである長門が、天道の口を通して、己の心からの望みを告げていた。
「願いだ」
「無事か、シカマル!?」
壊滅した木ノ葉の里。
瓦礫を押しのけ、折れた片腕と足を庇いながら、奈良シカクは己の息子の安否を確認する。
「どうにかな…」といつも通り、億劫そうな声で返ってきた息子の返事に安堵したシカクは、折れた片足を引き摺って、シカマルの傍まで足を進めた。
「こんなとんでもねぇ術を持っていながら、初めからコイツを使ってこなかったということは奴らには目的があったからだ」
変わり果てた里を見渡す。砂煙が巻き起こり、建物は半壊しており、見る影もない。
そして里の中央には巨大な穴がぽっかり、穿たれている。
「だがその目的を果たしたことで、奴ら、戦闘スタイルを陽動のゲリラ戦から戦略的な拠点破壊攻撃に変えてきやがった」
こんな芸当ができるのはあの『暁』に他ならない。
妙なことに助けてくれる“暁”も出没しているという情報も得ているが、結局のところ、奴らの目的は変わらないだろう。
「ナルが危ない…」
その瞬間、里の中央で大爆発が起きる。
今し方里を壊滅させた【神羅天征】とは違う、小規模だが、凄まじい音が轟く里中央へ、シカマルはただでさえ目つきが悪いと評され
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