八十二 英雄
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滅させた天道に激昂するナルとは対照的に、ペインは静かに口を開く。
「出来事はいつも突然だ。理由は後になって気づくもの」
里を壊滅させたことを悪いとは微塵も思っていない、他人事のように語るその口が気に障る。
「お前も俺も目指すものは同じだ。自来也先生の言っていた平和を成そうとしている」
見る影もないくらい破壊の限りを尽くしたペインのしれっとしたその顔を殴りたい。
「師は平和を望んでいた。そして俺の目的も」
しかしナルの心中をあえて無視して、ペインは己の信念を淡々と語る。
「平和を生み出し、正義を成すことだ」
それが決定打だった。
「ふざけるな…ふざけるなってばよ…」
沸々と沸き上がる怒り。
キッ、と鋭く天道を睨みつけながら、ナルは術を発動させた。
「お前らがやった、これの…」
空気が裂ける。高密度のチャクラの塊が手裏剣の形へ収束する。
その手裏剣を手に、ナルは激昂した。
「これのどこに平和が…正義があるんだってばよオォ!?」
「………」
暫しの無言を貫いた後、ペインはナルに問い質した。
「なら、お前の目的はなんだ?」
「お前をぶっ倒して!オレがこの忍びの世界を平和にしてやる!!」
それは確固たる自信だった。
疑いようもない理想だった。
呆れるほど叶わない夢だった。
かつての自分が描いていた夢と理想を語るナルを眩しげに、しかしペインは嘲笑った。
「そうか。それは立派なことだ。それこそ正義だな」
嘲笑と共に拍手を送る。
馬鹿にされているのが見え見えで、ナルは眼光を更に鋭くさせた。
「だが俺の家族を、仲間を、里を──この里と同じようにしたお前達木ノ葉の忍びだけが…」
どの口が、とペインは告げる。
紫色の双眸が、どの口が、と責める。
渦巻く輪廻眼が、どの口が、と問い質す。
「平和と正義を口にすることを許されるわけではないだろう?」
「…どういう意味、だってばよ」
火の国…そして木ノ葉は大きくなりすぎた。
故に、国益を守る為、大国同士の戦争で時刻の利益を獲得する必要がある。でなければ国、里の民が飢えるからだ。
しかしながらそれら大国の戦場になり、餌食になるのは小さな国と里。
戦争の度に小国は荒らされ、疲弊してゆく一方、大国は安定してゆく。
小国に多くの痛みと爪痕を残し、大国は幾度の戦争を経て平和を謳歌する。
それが許されるのか。許していいものなのか。
それが平和だと正義だと、どうして言い切れる。
「………」
天道の語りを耳にして、口を噤んだナルを、ペインは見遣る。
「お前も俺も同じだ。互
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