第99話 格の違い
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し統治せよ、は世の真理だ。
で、あればこれはチャンスと捉えるべきだ。
「可能ですが、なにもイゼルローン要塞を攻略せずとも回廊出口を軍事的に封鎖すれば、銀河帝国との『緊張感ある共存』は可能です」
俺は一介の中佐に過ぎないし、同盟生存の為にはどうしたって厄災である金髪の孺子と赤毛のノッポをぶっ殺さないといけないとは思うが、奴らが軍事上層部に現れる前に『ゴールデンバウム王朝』銀河帝国と共存ができるのであれば、二人が生きていても問題はないかもしれない。
そして権力亡者であり利己主義の塊でもあるトリューニヒトが、建国の父アーレ=ハイネセンに次ぐ政治的英雄になろうとも、一五〇年にわたる戦争を引き分け状態で比較的長期間維持できるのであれば構わないだろう。
「必要なのは、イゼルローン回廊入口の制宙権の確保、膨大な軍事建築資材と予算、そして同盟国内・帝国・フェザーンの三者と冷静にかつタフに交渉する覚悟です」
ゴールデンバウム王朝銀河帝国に対して手を差し伸べる必要などない。彼らの国是上、叛徒共の存在を公式に国家として認めることなど許されない。それはそれでいい。政治的には同盟と対立していた方が、フェザーン回廊の存在価値を維持できるし、フェザーンとしても帝国と同盟の平和的な講和に怯える必要がなくなる。軍事的にはイゼルローン回廊同盟側出口付近に、首飾りのビーズをぎっちり詰め込んで、数的優位をある程度制約できる殺戮システムを構築することで、同盟の純軍事的な損害を効率的に低減できる。
自由惑星同盟国内に向けて、あえて帝国との共存をぶち上げる必要はない。虚空の美女に性懲りもなく会いに行って、手酷いローキックを貰ってスゴスゴと帰ってくることを繰り返すのを止めるだけでいい。イゼルローン回廊出口の制宙権を確保する為には機動戦力は当分の間は必要だし、膨大な数のビーズを作るのにも予算はいるから、トリューニヒトは別に主戦派としての主張を翻す必要もない。ネズミが入ってくる穴を塞いでやれば、米櫃のコメを増やす力はまだ同盟にはある。人口比で不利な同盟は国家生存の為に産業効率を可能な限り高めてきた。ビーズ購入ローンの返済には時間はかかるだろうが、出来ないわけではない。『今ならば』
フェザーンに対しては、政治的には現状維持を、経済的には大規模支出をプランとして提示すればいい。まずビーズ購入ローンという大きな商機は純経済的に見逃せない。フェザーンにとって帝国と同盟の『講和』は断じて防がなければならないが、『緊張感ある共存』については認めるだろう。国家間戦争が一時停止することによる国家経済力の拡大は、フェザーン商人にとってはいいことずくめだ。建国のいきさつから地球教と手を切ることはそう簡単ではないだろうが、戦争の一時停止による人心と物資供給の安定は、サイオ
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