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ハッピークローバー
第百二十三話 足が速いとその十五

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「脱衣場はね」
「匂うんだな」
「そうよ、そこに入ってのぞくとか」
「変態さんがするよな」
「あんなのよくするってね」
 眉を顰めさせて言うのだった。
「思うわ」
「匂いきついからか」
「ええ、しかもいいもの観られないわよ」
 のぞきをしてもというのだ。
「誰いるかわからないから」
「更衣室とかおトイレのぞいてもか」
「そうよ、しかもあけっぴろげになるし」
 そうした場所ではというのだ、同性ばかりの場所では誰でもそうした風になるものであるのだ。男子校や女子校でもそれは同じである。
「いいもの観られないのよ」
「のぞきはするなか」
「そもそも犯罪だしね」
「そうだよな」
「それでいいもの観られないんだから」
「のぞきはしないことか」
「そうよ、お色気なんてね」
 更衣室等にはというのだ。
「ないのよ」
「普段の姉ちゃんみたいなものか」
「私?」
「ああ、俺から見たらな」
 弟からというのだ。
「姉ちゃんってな」
「色気ないのね」
「何もかもがでかくてな」
 そうしてというのだ。
「動きも雑な感じするよ」
「そうなの」
「飾らなくてな、あけっぴろげ過ぎて」
 そうであってというのだ。
「色気とかはな」
「感じないのね」
「母ちゃんからもな」
「それが普通よ」
 母は自分も言われて言ってきた。
「家族に何か感じるとかね」
「おかしいか」
「そうよ、お母さんだってあんたにはね」
「何も思わないか」
「自分の息子って思うけれど」
 それでもというのだ。
「それ以外の何でもないわ」
「そうなんだな」
「それが家族よ、あんたもかな恵ね」 
 二人共というのだ。
「おしめ代えたのよ」
「赤ちゃんの頃か」
「それで何で思うのよ」
「私もね、明男には何も思わないわね」
 かな恵も言ってきた。
「言われてみれば」
「弟ってだけか」
「交際するなら」
 それならというのだ。
「鳴海っち一択よ」
「それで付き合ってるんだな」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「あんたはあくまで弟でね」
「他の何でもないか」
「家族よ」
 そうであるというのだ。
「紛れもなくね」
「そう言われるとな」
「あんたもでしょ」
「姉ちゃんは姉ちゃんだよ」
 あくまでというのだ。
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