第二章
[8]前話
「既に考えてある」
「そうなの」
「池と海をつなげばいい」
こう言うのだった。
「それぞれの池から海まで溝を掘るのだ」
「そしてお池と海をつなぐ」
「溝を掘ればな」
池と海の間にというのだ。
「両方から水が来てすぐにつながる」
「そうなるわね、お水は」
「池は大地にあるが」
「大地は海より高い場所にあるわね」
「だから池から海に水が注がれてな」
溝を通ってというのだ。
「池と海がつながる、そしてだ」
「お池からお魚が入るわね」
「そうなるな、だからだ」
この度はというのだ。
「これからは海にもだ」
「お魚がいて」
「海は面している場所も広いからな」
海自体が広いだけあってというのだ。
「多くの者が釣れる、そしてだ」
「食べられるわね」
「そうなる、だからな」
「これからは」
「誰もが魚を食べられる」
こう言うのだった。
「美味い魚をな」
「それで狭いお池に増え過ぎることもなくなるわね」
「そうなる、これでどうだ」
「いいと思うわ」
ウルピワチャックは確かな顔と声で答えた。
「それで」
「そうだな、ではだ」
「これからは」
「皆で池でも海でもな」
「お魚を食べることね」
「そうする、そして堀った溝はだ」
今はそちらも水に満ちている、そちらのことも言うのだった。
「川と名付けよう」
「そうするのね」
「そして川でもな」
「お魚がお池と海にいるなら」
「その二つをつなぐならな」
そうであるならというのだ。
「当然だ」
「お魚がいるわね」
「そして食べられる、水があれば魚がいる」
「そうした状況になったわね」
「世界はさらによくなった、ではさらにだ」
ヴィコラチャは笑顔で話した。
「世界をよくしていこう」
「創造神として」
「そうなる様にしていこう」
笑顔で言ってだ、ヴィコラチャは創造神として働いていった。そして世界をよくしていったがその中にはこうした話もある。インカに伝わる古い話である。
海の魚 完
2023・11・13
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