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夏祭りの後
第一章

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                夏祭りの後
 仕事から帰るとだ、山本郁夫は妻の玲色白で顎の形がよく切れ長の二重の目に形のいい眉と黒く長い髪の毛を持つ一六〇位の背のスタイルのいい彼女に言われた。
「今からお祭り行かない?」
「ああ、そういえば」
 郁夫は言われて思い出した、大きな黒目がちの目で太く短い眉に大きな口を持つ大柄な男で黒髪は後ろに撫でつけている。職業はサラリーマンである。
「今日は」
「地元の神社でね」
「夏祭りだな」
「だからね」
 妻は夫にさらに話した。
「これからね」
「そうだな、行こうか」 
 妻の言葉にそれではとなって応えた。
「久し振りに出店も見て」
「色々買ってね」
「食べたり飲んだりもいいな」
「そうでしょ、だからね」
「今夜はそうするか」
「そうしましょう」
「それじゃあな」
「そのつもりでね」
 妻は夫に笑って言った。
「実は今晩はね」
「何も作ってないのかい?」
「ご飯はあるけれど」 
 それでもというのだ。
「おかずはね」
「ないんだな」
「あなたもそう言うと思って」
「まあ僕もお祭りとか出店とか好きだし」
「私もね、じゃあね」
「今から行こうか」
「そうしましょう、じゃあ着替えましょう」
 夫に早速という感じで告げた。
「これからね」
「それじゃあね」
「うん、それじゃあ」
 郁夫も頷いてだった。
 二人はそれぞれ着替えた、郁夫はズボンにティーシャツという夏らしい実にラフなものであったが。
 玲、彼女はというと。
「浴衣かい」
「着付けできるからね」
 妻は夫ににこりと笑って答えた、紺に白やピンクの朝顔の模様で帯は桃色である。その浴衣姿で夫に言うのだった。
「折角だし」
「夏祭りだから」
「そう、どうかしら」
「似合うよ、ただね」 
 夫は驚きを隠せない顔で妻に言った。
「まさか」
「浴衣になるなんて?」
「思わなかったから」
「いつものジーンズとシャツじゃね」 
 先程までその恰好だった。
「どうもね」
「味気ないから」
「そう思ってね」
 それでというのだ。
「浴衣にしたの」
「着付けも出来るから」
「自分自身のね」
「それでだね」
「ええ、こっちにしたの」
「そうなんだ、それじゃあ」
「今から行きましょう」
 妻から夫の手を握ってだった。
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