第一章
[2]次話
王子な娘
高橋命は一七〇の長身に長い足、きりっとしたボーイッシュな顔立ちに黒いショートヘアという外見だ。
真面目でさっぱりとした性格で凛としているので同じ高校の女子からは人気があって王子様とさえい言われている。
「本当にそうよね」
「王子様よね」
「その外見はね」
「そして性格も動きもね」
「全部王子様よね」
「女の子だけれど」
こう言っていた、文武両道でありこのことも人気だった。だが。
趣味と聞かれてだ、命はいつもこう答えていた。
「お料理とお裁縫だな」
「って格好よくよね」
「まさに漢のお料理」
「そういうの作るのよね」
「高橋さんならね」
「王子様だしね」
「お裁縫だってね」
誰もが思った、兎角だ。
命はボーイッシュと思われていた、部活のフェシングでもそうしたスタイルだったので尚更だ。だが。
ある日家に誘われたクラスメイト達は命の部屋に入って目を丸くさせた。
「えっ、何これ」
「乙女チックなお部屋ね」
「一面ピンクで」
「カーテンもベッドも可愛らしくて」
「ぬいぐるみで一杯だし」
「お部屋にあるもの全部ファンシーね」
「そんな感じね」
「私はそうしたものが好きだ」
命は真面目な顔と声で答えた。
「だからな」
「それでなの」
「お部屋の中はいつもなの」
「こうした風にしているの」
「そうだ、実はお姉ちゃんがだ」
自分の姉がというのだ。
「昔からピンクハウス系でな」
「それでなの」
「お姉さんから影響を受けて」
「乙女チックな趣味なの」
「ファンシーなのね」
「私自身はこうした外見でベルサイユのばら等を読んでだ」
フランス革命を舞台にした漫画である、池田理代子先生が世に出した不滅の名作として知られている。
「オスカル達に憧れてな」
「そうした立ち居振る舞いね」
「喋り方も」
「そうよね」
「別に男だとはしていないがな」
そこはオスカルと違うというのだ。
「しかしな」
「それでもなのね」
「お姉さんの影響を受けて」
「それでなのね」
「趣味が似た、お姉ちゃんはお菓子作りも趣味でだ」
命はさらに話した。
「色々作るが私も影響を受けてだ」
「お菓子作るの」
「高橋さん料理上手だけれど」
「家庭科の授業でもそうだし」
「うむ、それで実はスコーンを焼いた」
言いつつそのスコーンを出す。
「紅茶も煎れた、飲んでくれるか」
「ええ、それじゃあね」
「いただくわね」
「皆でね」
友人達も頷いてそのスコーンと紅茶をご馳走になったがどちらも美味かった、そして彼女から色々と聞くとだった。
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