第二章
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お好み焼きを食べ尽くすと傍に控えていた者が唐揚げを持って来てくれた、それは鶏のものだったが碧はそれを食べて言った。
「そういえば鰐の唐揚げもあるのう」
「鰐ですか」
「そうじゃ、お主の皮を剥いだな」
「あれは鮫ですから」
兎は後ろ足で立って酒を飲みつつ碧に答えた。
「隠岐とか私がいた因幡ではそう呼んでいまして」
「方言じゃのう」
「そうですよ、また違いますよ」
「そうじゃったのう、そういえばじゃ」
碧は唐揚げを食べつつさらに言った。
「お主みたいな話は他の国にもあるぞ」
「そうみたいですね、これが」
「蝦夷の方にもな」
こちらでもというのだ。
「兎とトドの話があってこちらは皮を剥がされぬ」
「そちらの同輩はですか」
「そうじゃ、肝を食われそうになったが」
そのトドにというのだ。
「機転で乗り越えるのじゃ」
「そうしたお話ですか」
「そうじゃ、千歳ちゃんから聞いた」
蝦夷つまり北海道の星の者である彼女からというのだ。
「そうした話があるとな」
「そのお話は知りませんでした」
「そうなんじゃな、それでじゃ」
碧はさらに話した。
「お主と同じ様なことをして酷い目に逢う話は他にもじゃ」
「ありますね、他の国の方々が仰ってますね」
「我が国と同じく島国のインドネシアやニューギニアにあってな」
「そのこともですね」
「聞いたわ」
そうだというのだ。
「インドネシアでは小さな鹿でじゃ」
「ネズミシカという」
「おお、知ってるけえ」
「知ってますよ、こっちの世界にもいますから」
兎は主に答えた。
「私も」
「そうか、その鹿がじゃ」
「私みたいなことをして」
「ニューギニアでは猿じゃ」
この生きものだというのだ。
「インドでは兎でのう」
「生きものの種類はそれぞれですね」
「それでじゃ」
碧は飲みながらさらに話した。
「鮫でなく本物のじゃ」
「鰐ですね」
「そうなっとるけえ」
「面白いですね」
「あれじゃ」
自分も飲んでいる兎にこうも話した。
「起きた世界の話じゃが」
「何処からのお話が海を通じて島から島に伝わって」
「はるばる日本まできたんじゃ」
「私達のこの国まで」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「そういうことじゃ」
「左様ですね」
「だから鰐と呼ばれておったんじゃ」
「鮫が」
「元々方言で鮫を鰐と呼んでおって」
そこにというのだ。
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