第一章
[2]次話
因幡の白兎
夢の世界では世界を救う星の者として十星連合の中で政と戦に活躍している女子高生国木田碧の神具の一つである因幡の白兎は彼女にとっては頼りになる相談役でもある、戦の時は彼も戦い術も使う。そうした意味でも頼りにしている。
碧はこの時都の自分の屋敷で夜の酒を楽しんでいた、屋敷の縁側に出てそこに座して月見をしながら飲んでいる。そのうえで言うのだった。
「風流じゃのう」
「あの、日本のお屋敷の縁側に座られてです」
共にいておちょこで飲んでいる兎が応えた、碧は漆塗りの大盃を持っている。
「お庭を前にして満月をご覧になられ」
「こうして日本酒を飲むことは風流じゃのう」
「それはそうですが」
安芸の言葉で語る碧に話した。
「問題は肴です」
「酒のか」
「お好み焼きというのは」
安芸のそれはというのだ。
「どうもです」
「風流じゃないか」
「そう思いますが」
「まあそれはじゃ」
碧は兎に明るく笑って返した、左膝を立てて座り顔はもう真っ赤である。兎はその彼女の傍に後ろ足で立って前足におちょこを持って飲んでいる。
「わらわの好みでじゃ」
「ご主人はお好み焼きがお好きなので」
「それで今夜もじゃ」
「おつまみはですか」
「そうじゃ、お好み焼きじゃ」
皿の上にある、三枚重ねられている。
「お主は食っておらんが」
「神具なので食べずとも平気なので」
兎はこう答えた。
「お酒はお付き合いでいただいていますが」
「そうしとるのう」
「はい、それでお好み焼きですか」
「好きでじゃ」
実際に箸で食べつつ答えた。
「こうしてじゃ」
「飲まれながらですね」
「食っておる、それで風流もな」
「楽しまれていますか」
「お好み焼きでも風流であろう」
「ご主人がそう言われるなら」
兎もそれならと応えた。
「左様ですね」
「そうじゃのう」
「はい、それでは」
「こうしてじゃ」
「飲まれますか」
「そうする」
こう言って今度は飲んだ、碧は兎とそうした話をしながら月見をしつつ酒を飲みお好み焼きを楽しんだ。その中でだ。
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