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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
 【第6節】ヴィクトーリアの個人的な問題について。
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みたいなんだけど……」

「それで、縁談の話はそのまま立ち消えになってしまった訳ですが……このお話は元々、『向こうの御当主』の、単なる思いつきだったと言うか……。85年の、いわゆる〈ゲドルザン事件〉でお嬢様の名前がそれなりに有名になった結果、『そう言えば、ダールグリュン家のハトコにも、ウチの息子と似たような(とし)の娘がいたなあ』ということを、ただ思い出しただけだったと言うか……」
「まあ、私も彼も最初にそれを聞いていたから、お互い、割と気軽にお断りすることができたのだけれど……確か、彼には、あの時点で15歳になる弟さんがいたはずなのよ。
 だから、フェルノッド陸曹が『24歳』と名乗った時、私はとっさに『もしも、この人がミルコの弟さん本人だったら、モノすごく気まずいなあ』とか考えちゃったの」
「ああ〜。それは、確かに気まずいかな〜」
「なるほど。それで、全く違うと解って、安心されたんですね」
 これで、ツバサの「些細な」疑問は、ようやく解消されたようです。

「まあ、冷静に考えたら、ウベルティ本家の人間がわざわざ一介(いっかい)の陸曹なんかをやってるはずが無いんだけどね」
 ヴィクトーリアは自分の「早とちり」を反省しつつ、そう続けました。
 確かに、「それほどの名家の御子息」ならば、たとえ局の武装隊に入るにしても、最初から士官学校を卒業して、普通なら三尉から、最低でも准尉から、そのキャリアを始めているはずです。間違っても、一般の陸士から始めて、叩き上げで陸曹になったりはしないでしょう。

 一方、エドガーは少し芝居がかった表情で、ひとつ大きく溜め息をついてから、「やれやれ」と言わんばかりの口調で唐突に話題を変えました。
「しかし、あの時点では、(わたくし)どもも、よもやウチのお嬢様がこれほど(えん)(どお)くなられるとは、考えてもおりませんでした。……ダールグリュン家ほどの名家ともなると、『家格』の釣り合う相手を探すだけでも一苦労だと言うのに……まったく、ウチのお嬢様と来たら……」
「ああ。ずっと独身でいるということは、やはり、夫となる男性にはいろいろと厳しい条件をつけている、ということですか?」
 ツバサがさも「当たり前のコト」のような口調で言うと、ヴィクトーリアはとっさにこう反発します。
「いや! 別に、そんな高望みをしているつもりは無いのよ! 私はただ、『私と普通に魔法戦をして、簡単に負けてしまうような軟弱者では困る』と言っているだけで!」
《うわあ……。それ、ハードル、高すぎ……。》
《あのアインハルト兄様ですら、新暦80年の都市本戦では勝てなかった、という話ですからねえ……。》
 今から15年前、二人は都市本戦の5位決定戦で戦い、アインハルトは6位に終わっています。本人にその気は無くても、カナタやツバ
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