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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
 【第5節】中世ミッドチルダの歴史について。
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かざすこと無く、みずから率先して法律を遵守していましたからね。個々の年代は私にも正確には解りませんが、少なくとも、ミッドが独立した時点で〈四大分家〉はすべて出揃っていました」

 エドガーはそう言って、また新たな解説を始めます。
「中でも歴史が古いのは、バレストラ家とサラサール家です。……フランカルディ家は総督としてミッドに移住した当初から、自治政府の立場を尊重して、あまり政治的な介入はしないように努めていたのですが、それでも何か口を出さざるを得ない時には、必ずこの両家を使って間接的な形で自治政府に働きかけていました」
「え? なんで、わざわざ、そんな面倒なコトを?」
「総督本人が下手に何かを発言すると、それは『命令』になってしまうからです。たとえ総督自身は『単なる提案』のつもりで述べたのだとしても、保護領の自治政府としては『総督の言葉』にはなかなか逆らうことができません。
 実際に、自治政府の人々は当初、あたかもそれが『ベルカ世界に対する正しい礼儀作法』であるかのように、総督の言葉をすべて『事実上の命令』として受け取っていたのだと言います」

「何か背景に無言の圧力があると勝手に思い込んでしまっていた、ということでしょうか?」
「ええ。おそらくは、『従わなかった時のデメリット』を過大に想定し、委縮していたのでしょう。そのため、自治政府の自主性を尊重しようと思うと、フランカルディ家としては、どうしても自治政府との間に『仲介者』を置かざるを得なかったのですが……。
 その役をミッドの人間に任せてしまうと、今度は『その人物がその特権を利用して、さも総督の意向であるかのように自分の利益になることを語り始めてしまう』という危険性があったために、フランカルディ家としては、その役をみずからの分家に任せるしかありませんでした。
 そうした本家の意向を受けて、サラサール家の当主は代々、芸術家や美食家を名乗り、メディアにも積極的に顔を出しつつ、とても軽いノリで、『地域文化振興』などといった立場から自治政府にさまざまな提言を行ないました。一方、バレストラ家は、もう少し裏方の、あまり表には出ない仕事を担当していたようです」

 そこで、ヴィクトーリアがまた不意に、今度は少し悪戯(いたずら)っぽい口調で、こんな言葉を差しはさみました。
「その件に関しては、ホントは『表に出ない、裏方の仕事』じゃなくて、『表沙汰には出来ない、裏の仕事』だったんじゃないか、なんて言う人もいるみたいだけどね」
「えっ?」
「それは、また、いきなりキナ臭い話ですね!」
 これには、エドガーも苦笑しつつ解説を加えます。
「まあ、今でも、バレストラ家のことを『ミッドで最も闇の深い一族』などと言う人も、ごく一部に実在するようですが……実際には、ただ単に『軍事部門やロストロギア関
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