【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
【第5節】中世ミッドチルダの歴史について。
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
たんですよね? 当時は、親の個人名を子供が苗字に転用するというのも、よくあるコトだったんですか?」
「そうですね。しかし、それは『時代』の問題ではなく、『出身世界』の問題です。ミッドを始めとする普通の世界では、苗字はただ単に『血のつながり』を意味するモノでしかありませんから、子供たちは全員が親の苗字をそのままに受け継ぐことが当たり前なのですが……ベルカ世界では、特に王侯貴族の場合、苗字はしばしば『世襲される地位や身分』それ自体と密接に結びついていましたから、嫡子がただ一人で親の苗字を受け継ぐことの方がむしろ一般的だったのです」
「それは、つまり……嫡子以外の子供たちは、みな他家へ嫁いだり分家したりして、苗字を変えるのが当たり前だった、と?」
「そのとおりです。分家の苗字のつけ方に関しては、身分ごとに幾つか細かな規則もあったようですが、今となってはもう詳しいことは解りません。ただ、『親の個人名をそのまま自分の苗字に転用する』というのも、貴族階級には……特に、末子の場合には……実際によくあることだったようです」
そこで、カナタは不意にやや大きな声を上げました。
「……あっ、そうか! 兄様の場合は、ミッドに来たのが『覇王の嫡子』だったから、苗字がイングヴァルトのままなんだ!」
「そうですね。しかし、当然ながら、アインハルトさんの御先祖様のような方は、実際にはむしろ少数派で、当時、ベルカから来た移民一世の過半数は、ミッドへの移住に際して苗字を全く別のものに改めたそうです」
すると、今度はまた、ツバサがこんな疑問を口にします。
「え? しかし、その『過半数』というのは……実際には『何千万人』という規模ですよね? 確か、ミッドの戸籍制度では、結婚や養子縁組に際しても、ただ新しい苗字が『付加』されたり、古い苗字が『削除』されたりしていくだけで、苗字を『改変』するには、相当に煩雑な手続きが必要だったはずでは?」
「よく御存知ですね! ええ、そのとおりです」
エドガーは一言、感嘆の声を上げてから、説明に入りました。
(どうやら、ツバサは以前、母親のフェイトから「自分の苗字が三つもある理由」に関連して、戸籍制度についても少しだけ説明を受けたことがあったようです。)
「しかし……『今すでにミッドの戸籍に登録されている人物』がその苗字や個人名を改めようと思ったら、確かに、それには『それ相応の理由』と『かなり煩雑な手続き』が必要になるのですが……実は、現在の法律でも、制度上は『初めてミッドに来た移民』が新たにミッドの戸籍に名前を登録する際には、極端な話、その場でテキトーに作った苗字と個人名でも自由に登録することができます。
そして、それ自体は当時の法律でも全く同様でした。……と言っても、実際には、ベルカ以外の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ