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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
 【第5節】中世ミッドチルダの歴史について。
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の話だと、初等科レベルの近現代史にも『フランカルディ家』の名前ぐらいは出て来たって良さそうに思えるんだけど?」
「そうですね。……ただ、実を言うと、(こよみ)が新暦に変わってから、フランカルディ本家は一連の重大な不祥事を起こしてしまいました」
「不祥事って……何を?」
 エドガーは静かに首を左右に振って、こう答えます。
「詳細は明らかにされていませんが……どうやら、新暦の初期に、私利私欲のため政治に介入し、一度ならず、力ずくで法をねじ曲げたことがあったようです」
「それって、ダメなヤツじゃん!」
「全くそのとおりです。『総督』の地位を退いた後も、フランカルディ家が長らく『ミッドで最高の権威』であり続けたのは、決して単なる血筋のせいではなく、私利私欲のために強権を発動することが一度も無かったからだというのに……」
「先の(たと)えで言うと……『とっくに隠居していたはずの老人が、また表舞台に出て来て、いきなり無茶を言い出した』といったところでしょうか?」
 ツバサの指摘に、エドガーは大きくうなずきました。

「ええ。まさに、老害そのものです。こうして、千年余・四十世代をかけて築き上げた権威と信頼も、わずか一〜二世代のうちに地に()ちてしまいました。……そんな訳で、今ではミッド政府からも管理局からも、フランカルディ家は相当に(うと)まれており……おそらくは、そうした事情もあって、初等科用のテキストには、その名前が全く出て来ないのだろうと思います」
「なるほどねえ……」
 カナタは小さくうなずいてから、また不意に、もう一つの疑問へと話を移します。
「それと……名門の家系って、元々はみんな貴族だったの?」
「いいえ。それ以降に成り上がった元平民も大勢(おおぜい)いれば、逆に没落した元貴族も大勢いますからね。『名門』の定義にもよりますが……現在、一般に『名門』として扱われている家系は、ミッド全体ではざっと1200ほどあります。しかし、その中で元が貴族なのは、少し多めに見積もっても800足らずだろうと思いますよ」
「それでも、軽く過半数かぁ……」
 カナタは思わず溜め息を漏らしました。『たとえ身分制が廃止されても、所得の格差が世代を超えて受け継がれ、そのまま社会的な階級として固定されてしまう』というのは、どこの世界でも決して珍しい現象ではないようです。

【なお、この作品の設定としては、ミッド全体では「地方」が全部で230個ほど存在している、ということになっているので、平均すれば、どの地方にも「名家」(名門と呼ばれる家系)は五つか六つほど存在している、という計算になります。】

 そこで、今度は、ツバサがまたふとした疑問を口にしました。
「ところで、話は変わりますが……ダールグリュンという苗字は、元々〈雷帝〉の個人名だっ
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