【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
【第5節】中世ミッドチルダの歴史について。
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末代まで楽に食べていける、という話です」
「質素って、そういうレベルの質素かよ!」
「まあ、『現役の総督家』と言うか、『事実上の王家』だった頃に比べれば、それでもまだ、随分と質素なんでしょうけど……」
「まったく……ダールグリュン家の所有地の、一体何十倍なのかしらねえ?」
ヴィクトーリアもふと、そんな感想を漏らします。
《それでも、100倍の差は無いのかよ!》
《まあ、ダールグリュン家も相当な「名門」ですからねえ……。》
カナタとツバサは、今度は声に出さずに、そうツッコミとフォローを入れました。
「まあ、当家の所有地も『元々は全部、フランカルディ家から無償で譲渡されたものだ』という話だから、私もあまり偉そうなコトを言うつもりは無いんだけど……」
「それは……やはり、最初に移民して来た時に譲り受けた、ということですか?」
「ええ。当家の『初代当主』ヴェンデルは〈雷帝〉ダールグリュン四世の末の皇子で、ベルカからは全部で百人ほどの家臣団を引き連れて来ていたから、彼等を充分に食べさせて行くためにも、最初はフランカルディ家に対して『王族に相応の待遇と特権』を要求したらしいわ」
「え? でも、それって、ダメなパターンなんじゃ?」
カナタの懸念も、もっともです。
そこで、エドガーはすかさずこう言葉を添えました。
「それでも、初代ヴェンデル様は随分と物分かりの良い方でした。当時、フランカルディ家の老当主から『それでは、この世界もいつの日か、ベルカと同じ運命をたどる結果になってしまう』と諭され、『ベルカ貴族の中でも最も位の高い家柄の出である貴殿が、ここでみずから率先して模範的な姿を見せてくれれば、他の貴族たちもきっと貴殿に倣い、この世界にもベルカとは異なる未来が開けるはずだ』と説得されて、それを受け入れ、要求を『家臣団を養うに足るだけの広さの土地の無償供与』だけに留めたのだそうです。
そして、事実、後に、他のベルカ貴族たちは『彼の〈雷帝〉の一族ですら、あの程度の広さの土地で手を打ったのならば』と、みな『分不相応の要求』を取り下げました。
ですから……少々『身内自慢』のような言い方になってしまいますが……もしも初代ヴェンデル様がフランカルディ家の老当主の説得を素直に受け入れていなかったら、ミッドの歴史は今よりも随分と難しいモノになっていただろうと思います。
まあ、中等科や高等科で習う『中世ミッド史の講義』には、ここまで具体的な話は出て来ないんですけどね」
これでようやく、「フランカルディ本家」について、ひととおりの説明が終わったようです。
そこで、カナタは一拍おいて、また、一つの疑問をエドガーにぶつけました。
「いや。でも……今
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