【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
【第5節】中世ミッドチルダの歴史について。
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の口調で問うと、エドガーは無言のまま大きくうなずきました。
「あ〜。やっぱり、『自分を知る』って大事なコトなんだな〜」
「そうですね。古典語で『己の分際を弁えろ』などと言うと、とても嫌な言い方に聞こえてしまいますが、自分自身を客観視した上で、自分が今は『全体の中で』どれぐらいの水準にあり、『特定の枠組みの中で』どういう立場にいるのか、ということを正しく把握しておくのは、とても大切なことだと思います」
エドガーの言葉に、双子は何度も小さくうなずきます。
そこで、また一拍おいて、ツバサはこう問いました。
「それでは……実際には、その温暖化はどのようにして起こったのですか?」
「ミッドの第六大陸、いわゆる〈南極大陸〉は、今でもほぼ『南極点を中心とした円形』をしているのですが、当時は他の大陸から完全に孤立しており、その結果、おおよそ南緯50度台を流れる強大な寒流が、全く陸地に遮られること無く、南極大陸の周囲をぐるりと一周していました。
これを〈周極流〉と言うのですが、赤道の方からはるばると南下して来た暖流も、この周極流に阻まれて南極大陸には近づくことすらできません。そのため、南極大陸は寒冷化し、雪が延々と降り積もって氷床と成り、その雪や氷床が太陽の光をそのまま反射してしまうことによって、惑星全体もまた寒冷化していたのです。
しかし、ちょうどベルカで『聖王戦争』が始まった頃だったと言いますから、聖王オリヴィエがミッドに来るより40年ほど前のことでしょうか。過去数百年に亘る一連の活発な火山活動によって、南極大陸と最寄りの〈第五大陸〉とが、とうとう地続きになってしまいました」
「ああ。俗に言う〈山岳大陸〉ですね?」
「確か……赤道の辺りから南極大陸のすぐ近くにまで伸びた、山だらけの、ミッドで火山が一番たくさんある大陸……だったっけ?」
二人の言葉に、エドガーはまた大きくうなずきます。
「ええ。その山岳大陸が南極大陸とつながったため、周極流はその地峡に遮られて山岳大陸の西側を北上するようになり、その代わりに、山岳大陸の東側を南下していた暖流がそのまま南極大陸の沿岸にまで到達するようになりました。これによって、南極大陸は次第に温かくなって行き、ある時点を境にして一気に氷床が融け出したのです。
同時に、南極大陸の地肌が露出して、太陽の光を吸収するようになると、温暖化は『熱量の移動による、南極大陸の局地的な現象』ではなく、『大気中の総熱量の増加による、惑星規模の現象』となりました。こうして、〈第一大陸〉の方では、温暖化と海面上昇がほぼ同時に進行していったのです。
ですから……もしかすると、フランカルディ家の方々は、いずれ海面上昇が始まることを知っていたのかも知れま
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