【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
【第4節】第2管理外世界オルセアについて。
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そして、コニィが「四つの」茶碗を乗せた大きなお盆を手に、陸曹たちの方へと歩いて行くのを見送ってから、今度は、カナタがまた少し話を脇道へ逸らすような質問をしました。
(どうやら、コニィはしばらくの間、陸曹たちの話し相手を務めるつもりのようです。)
「あれ? でも、確か……オルセアも、つい最近まで内戦が続いてたんだよネ?」
「ああ。オルセアは、シャグザードやパドローナとはまた少し事情が違うんですよ。当時のオルセアでは、都市部への人口集中が急速に進行しており、特に〈東の大陸〉では……その大陸は中央部が丸ごと高原地帯と言うか、一面の山間部になっているのですが……そこに点在する幾千もの村々が次々に廃村と化して、深刻な社会問題となっていました。
一方、受け入れた難民の総数はせいぜい300万人あまりで、彼等『移民一世』の大半は、そうした〈東の大陸〉の山間部にある幾千もの廃村に数百人ずつバラバラに押し込められ、『高度な自治を与える』という美名の下に『事実上の棄民』をされてしまったのですが、それでも、家屋や井戸や農地など、最低限の生活インフラはまだかろうじて残っていましたから、彼等は現地での農耕に狩猟や採集なども交えて、何とか食いつないで行くことができました」
「彼等の大半は、ベルカでもかなり貧しい暮らしを強いられていた人々だったので、オルセアでの厳しい生活にもそれほど不満を抱くことは無く、彼等自身はこれといって何の問題も起こさなかったのですが、その後、総督家の本家が不意に断絶した結果、オルセア全土でそれぞれに地方領主を務めていた多くの分家筋や現地貴族たちの間で、唐突に『世界の覇権』をめぐる争いが始まってしまったのです。
やがては、一般の人々も地域間の対立感情などを煽られて、次第に『領主同士の争い』にも主体的に参加してゆくようになりました。
そして、ベルカ系の移民もまた、『オルセアで生まれ育って、もう古代ベルカのことなど何も知らない三世・四世たち』は、すでにかなりマトモな生活ができるようになっていたことも手伝って、自分たちがいつまでも二等市民という差別的な扱いを受け続けていることにもう我慢ができなくなり、実力行使をも辞さない構えで『法的に対等の身分』を要求し始めました。
そのため、後に、他の世界から携帯型の質量兵器、いわゆる『実弾の銃器』が、大量に流れ込むようになると、すぐに『至る所で、何かの拍子に銃撃戦が展開される』という物騒な世界になってしまったのです」
「それは……具体的には、いつ頃のことなのでしょうか?」
「ベルカ世界からの〈大脱出〉が完了し、ベルカが完全な無人世界と化してから、およそ60年後。聖王オリヴィエの死から数えれば、およそ120年後。新暦で言うと、前160年頃。つまり、〈九世界連合〉が成立す
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