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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
 【第4節】第2管理外世界オルセアについて。
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はとても浅いものでした。大半の人々はまだ文盲(もんもう)で、その上、彼等は誰一人として『社会統治のスキル』など持ってはいなかったのです」
「……そうか! みんなで仲良く話し合うこと自体も、実は、一種の技能(スキル)なんだ!」
 カナタは驚きの口調で言いましたが、よく考えてみれば、それは当たり前の話です。
 エドガーはまた大きくうなずいて、さらに説明を続けました。
「そのとおり。私たち現代人が普段、『普通の人間なら、出来て当たり前だ』と思っている行為のうちの何割かは、実は、近代化された社会でマトモな(しつけ)や公共教育を受けて初めて身に付けることができる『特殊技能』なのです。対話のスキルもそうですが、このスキルが無ければ、意見の応酬はただの口論にしかなりません」

「当時、オルセアの貴族たちは確かに堕落していましたが、それでも、まだ『社会統治のスキル』を保有していました。もちろん、彼等はそれを民衆の幸福のためにではなく、全く私利私欲のために使っていた訳ですが……それでも、彼等は『このまま社会秩序を維持してゆくためには何をどうすることが必要なのか』ということを、まだ曲がりなりにも理解していたのです。
 しかし、民衆は当時、そうしたスキルをまだ手にしていませんでした。だから、『利害の対立がある相手とも粘り強く交渉を重ね、妥協できる部分に関しては互いに妥協をしてでも、双方ともに納得できるような合意を導き出す』という地道な作業が、まだ全然できなかったのです。
 彼等は交渉や妥協のスキルを持たぬがゆえに戦い続けました。めいめいが他者の事情など一片(かけら)も理解せぬままに自分たちだけの正義を振りかざし、自分たちだけの利益を守るため、一歩も退()かずに戦い続けました。そして、結局のところ、彼等は古い政治システムを暴力的に破壊したまま、自分たちの力では新しいシステムを上手(うま)く立ち上げることができなかったのです」
「ああ……。それで、ホームレスって比喩(たとえ)になるのか……」
 カナタは、ようやく得心(とくしん)がいったようです。

 一方、ツバサは逆に『どうにも納得がいかない』という表情で問いました。
「しかし……当時、管理局はそんなオルセアに対して何もしなかったのですか?」
「それは、もっともな疑問ですが……管理局には設立当初から、幾つかの〈根本原則〉がありました。『内戦世界への不介入』というのも、そのうちの一つです。
 そのため、『オルセアについては、特例として介入を認めるべきだ』という意見も一部には存在したのですが、全体としては『根本原則は文字どおり〈管理局の根本〉なのだから、特例など一つとして認める訳にはいかない』という意見の方が遥かに多かったのです」
「でも……それは、自縄自縛と言いませんか?」
「そうですね。しかし、
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