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魔法戦史リリカルなのはSAGA(サーガ)
【第一部】新世界ローゼン。アインハルト救出作戦。
【第4章】ザフィーラやヴィクトーリアたちとの会話。
 【第3節】旧総督家たるフランカルディ家について。
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速な温暖化が始まっていたのです。
 フランカルディ家はそれを見越して、その十年余の間、精力的に荒れ地の開墾作業を進めていました。そのため、耕作地を分配された難民たちは、最初のうちこそ随分と貧しい生活を強いられたようですが、ほんの一年ほどで配給を受けずに自活することができるようになったのだと伝えられています」
「では……そもそも聖王オリヴィエが『臨終の地』にミッドチルダを選んだ理由も、将来的に移民を保護する準備のためだった、ということなのでしょうか?」
「そうですね。当時の正確な資料は何も残されていないので、今となってはもう、すべてが推測でしかありませんが、おそらくはそうなのだろうと思います。
『聖王オリヴィエが、ベルカでの戦乱の平定作業を途中で放り出してミッドに来てしまった理由は謎である』などと言う人も一部にいるようですが……。おそらく、禁忌兵器(フェアレーター)の使用による大地の汚染の進行は、もはや〈ゆりかご〉の力をもってしても止めようが無かったのでしょう。
 あくまでも推測ですが、聖王オリヴィエも『今すぐ、この戦乱を平定したとしても、ベルカ世界の滅亡はもう避けられない』と(さと)って、〈ゆりかご〉の力で、力ずくで戦乱を平定することよりも、より良い移民先を早急に準備することの方を優先させたのではないかと思います」

「え? じゃあ、もしかして……『当時、それだけの実行力と忠誠心を保持してる総督家は、もうミッドのフランカルディ家しか残ってなかった』ってこと?」
 エドガーの流暢な説明を聞いて、カナタがまた、ふとした疑問をぶつけました。
「そうですね。おそらくは、聖王オリヴィエにとって、ミッドチルダは『数ある選択肢の中での、最良の選択肢』と言うよりも、『ほとんど唯一の、マトモな選択肢』だったのでしょう。
当時、ガウラーデでは、総督家の勢力もかなり衰えていたと言いますし、ヴァイゼンとファストラウムに至っては、すでに総督家そのものが断絶してしまっていました」

 エドガーは四つの管理世界に続けて、四つの管理外世界についても説明を加えます。
「一方、キルバリスとオルセアの総督家は、それとは逆にもう忠誠心の方が無くなっていました。ベルカ世界からの移民に関しても『本来の身分には関係なく、全員を二等市民として扱う』と公言していたため、貴族階級や上級市民の人々は皆、それを嫌って他の世界へと移民した訳ですが……結果として言えば、この二つの総督家の判断はむしろ正しいものでした。
 ベルカ貴族の多くは数々の移民先でも、当然のように『貴族としての特権』を要求したため、現地の社会的な混乱は相当なものとなり……実際、シャグザードやパドローナでは充分な準備も無いままに、感情論で大量の移民を受け入れたため、そうした『ベルカ貴族たちの過大な要求』が主な原因となっ
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